ヴィーニョ ヴェルデのサブリージョン 「Basto(バシュト)」のテロワールを表現
土着品種の個性を引き出して造る高品質なワイン
国 | ポルトガル |
---|---|
地域 | ヴィーニョ ヴェルデ |
歴史 | ワイナリー歴史は18世紀にまでさかのぼり、設立以来ずっと同じ家族が所有し、今日までワイン造りを行う。 1987年 ディオゴがワイナリーを引き継ぐ |
オーナー | ジョゼ ディオゴ テイシェイラ コエリョ(5代目) |
葡萄園 | 50ha |
<情報リンク>
歴史ある家族経営のワイナリー
キンタ ダ ハーザはポルトガルの最北部、ミーニョ地方のD.O.P.ヴィーニョ ヴェルデのサブリージョン、「バシュト(Basto)」に拠点を置く生産者です。その歴史は、18世紀にまでさかのぼることが出来ます。設立以来ずっと同じ家族が所有し、今日までワイン造りを行ってきました。現在は、5世代目のジョゼ ディオゴ テイシェイラ コエリョによって運営されています。1987年に祖父のイナシオが亡くなった後、ディオゴがワイナリーを引き継ぎ、ワイン生産者としてのキャリアをスタートさせました。ディオゴは妻のマファルダと共に、葡萄栽培とワイン造りに対する情熱を持ち、土地の可能性を信じ、ワイナリーをさらに発展させました。現在は、50haの畑を所有し、年間70万本のワインを生産しています。
一般的なヴィーニョ ヴェルデのイメージとは異なるワイン
キンタ ダ ハーザのヴィーニョ ヴェルデは、一般的にイメージされる‟微発泡で軽快な飲み口が楽しめるワイン”とは異なり、‟長期熟成にも向く、高品質で本格的な味わいのスティルワイン”に仕上げられています。通常のワイン同様、ボトルによってはわずかに炭酸ガスを帯びている場合があるかもしれませんが、どれも「ヴィーニョ ヴェルデ」という先入観に縛られずに試していただきたいワインです。実際に、『ワイン アドヴォケイト』や、『ワイン エンスージアスト』といったワインガイドでも高評価を獲得しており、その品質の高さや、長期熟成の可能性について言及されています。ディオゴは、「ヴィーニョ ヴェルデはワインの名前ではなく、生産地域(D.O.P)を指します。白ワインだけでなく、赤、ロゼ、スパークリングワインも造られています。一般的にヴィーニョ ヴェルデは熟成しない、と言われていますがそれは正しくありません。特にアルヴァリーニョやアヴェッソといった品種で造られたワインは高い熟成の可能性を持っています」と話します。
ヴィーニョ ヴェルデで最も内陸に位置するサブリージョン
「バシュト(Basto)」のテロワールをワインに表現する
ポルトガルには14のD.O.P.があり、ヴィーニョ ヴェルデの生産量はポルトガルのスティルワインのD.O.P.の中で最大となっています。キンタ ダ ハーザのある「バシュト」は、ヴィーニョ ヴェルデの9つのサブリージョンの中で最も内陸に位置しているため、大西洋からの海風から守られています。ヴィーニョ ヴェルデの他のエリアと比べると冬は寒く、夏は非常に暑くなります。これは晩熟の品種であるアザル(白)やエスパデイロ(赤)の生育に非常に適しています。
キンタ ダ ハーザの畑の標高は平均で200~250m、ゆるやかな斜面で非常に日当たりの良い場所です。タメガ川と大西洋からの風を遮る山々に囲まれています。土壌は花崗岩が豊富で、一部は粘土とシストが混ざっています。土着品種に注力し、アザル、アリント、アヴェッソ、ヴィニャン、トラジャドゥーラ、アルヴァリーニョ等を栽培しています。キンタ ダ ハーザでは、周囲の自然環境との調和を大切にし、生物多様性を保ち、自然との共生を目指しています。
「私たちは特に、土着品種を守ることを重視しています。なぜなら、このような地域ならではの葡萄は、この土地や気候に非常に適していたからこそ、長年栽培されてきたと言えるからです。例えば、アザルは完熟しにくい葡萄品種で、他のエリアではあまり栽培されていませんが、バシュトの畑は非常に日当たりが良いため完熟することが出来ます。私たちの哲学は、単一品種のワインの場合、その葡萄の独自の個性、アロマやフレイバーが際立つようにすることです。また、私たちは複数品種のブレンドによるワインも造っていますが、単一品種の個性を知った上でブレンドのワインを飲むと、そのワインをさらに良く理解することが出来ます」
栽培と醸造について
ディオゴは、先人達のワインに対する想いを大切に受け継ぎながら、さらなる品質向上を求め、献身的に努力を重ねてきました。葡萄栽培とワイン造りについては、伝統を重んじながら、革新的な技術を取り入れています。収穫は、畑で丁寧に選別しながら手摘みで行ないます。収穫の際は、葡萄のフェノール類(タンニン、アントシアニン、フラボノール等)の成熟具合について様々な分析、考察を行った後、いつ収穫を行うかを決めています。当然ながら畑の向きや標高、求めているワインのスタイルや葡萄品種によって熟度が違ってきます。数日ごとに畑から葡萄の実をランダムに採取して分析を行い、潜在アルコールを測定します。さらにラボでpHや酸度を測定、種や果皮を食べてフェノール類の成熟度合いを見ます。
「個々の区画や品種の熟度の違いに合わせて収穫の順番を決めます。収穫は、熟練した収穫チームによって品質の良い葡萄だけを選別しながら手摘みで行ないます。収穫した葡萄が潰れないよう小型のケースに入れセラーに急いで運びます。この時期は寝る間も惜しむほどの忙しい時期ですが、チームは活気に満ちています」とディオゴは話します。
また、黒葡萄のヴィニャンは、100年以上前に造られた「ラガレス」と呼ばれる石の発酵槽を使い、昔と同じように足踏みをして葡萄を潰しています。他の抽出方法と比べてみたところ、人の足で潰したほうが他のどんな方法より優しく抽出出来ることが分かったため、このやり方を採用しています。