シャトーヌフの本当の魅力は、熟成を経て現れる複雑さにある
国 | フランス |
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地域 | コート デュ ローヌ |
歴史 | 1932年 セラファン サボンとマリーが設立 長男のジョセフ、さらにその息子ジャン クロード、ピエール&ベルナールが引き継ぐ。 1998年 ティエリが一緒に働き始める 2000年 ローヌのミシェル ロランとも呼ばれるフィリップ カンビがアドバイスを始める(最終ブレンドはティエリが行う)。 2001年 ティエリ サボンが跡を継ぐ。 2012年 ティエリが全て考えて行うようになる。 2013年 従兄弟と財産分与することで畑の一部を分割、新生モン オリヴェとなる。現在の場所に移転。 |
オーナー | ティエリ サボン : シャトーヌフ デュ パプの生産者組合長も務める。 |
葡萄園 | シャトーヌフ デュ パプ 28ha(相続後20.5ha) / コート デュ ローヌ18ha(12ha) / ヴァン ド ターヴル 1.5ha(1.725ha) 畑のあるモンタリヴェは砂質と海洋性粘土質で、以前は海底でした。 葡萄は、シャトーヌフ デュ パプに認められた13品種を全て植えています(試験的に少量しか植えていないものも)。ムールヴェードルはシャトー プラドーの苗木をもらっています。 |
栽培 | すべてオーガニックなものを使用。オーガニックの肥料。フェロモンカプセルで害虫対策、また豆科の植物を使い土壌に窒素を与え微生物を活性化。ベト病対策は、化学的なものも使用。 土壌の掘り返しは、何年にも渡って繰り返しおこなってきたため、葡萄は深く地中に根をはり、水不足の危険性は低くなっています。 |
<情報リンク>
「クラシックな長熟スタイルを守る」 有名なシャトーヌフ デュ パプの古城の跡の正面に位置しています。最近フレッシュで軽く、熟成を待たずに飲むスタイルのシャトーヌフ デュ パプが多い中、とてもクラシックな、力強くスパイシィで長期の熟成に耐えるスタイルのワインを造り続けています。シャトーヌフの魅力は複雑さにあり、熟成させることで現われてくると考えおり、2012年訪問時に、「’01年VTをレストランに売っているよ」とティエリは話していました。「ワイン アドヴォケイト」の、『2004年9月に飲んだ’57年の完璧に素晴らしいボトル』という記述も、それを証明しています。
「ティエリ サボン」 1971年生まれで、20才の時に醸造学を学び始め、醸造学校を卒業後、南アフリカに3ヶ月研修に行き、さらにオーストラリアで勉強しました。また、2016年末からシャトーヌフ デュ パプの生産者組合長に就任しました。
「多種の葡萄品種をブレンド」 葡萄は、シャトーヌフ デュ パプに認められた13品種を全て植え、複雑な集約感を出すために多種のブレンドを心がけています。それがシャトーヌフ デュ パプの典型だと信じているからです。ムールヴェードルはシャトー プラドーの苗木をもらっています。土壌の掘り返しは、何年にも渡って繰り返しおこなってきたため、葡萄は深く地中に根をはり、水不足の危険性は低くなっています。農作業は自分でコントロールしたいので、4~5人しか雇いません。収穫は、タイミングが異なるので何度も行わなくてはなりません。
<評価>
評価 「レ メイユール ヴァン ド フランス2018」で3つ星生産者(最高評価)。ヒュー ジョンソン「ポケッ トワイン ブック2019」で、シャトーヌフ デュ パプのトップ生産者として掲載。「ル ギド アシェット デ ヴァン」、「ワインスペクテーター」等で常に高く評価。また、ロバート パーカー Jr.は4~5ッ星の評価。ロバート パーカー Jr.「ワールド グレイテスト ワイン エステイト」に掲載。
「ル クロ デュ モン オリヴェは、30の区画を持っていますが、アペラシオン全体に分かれています。このドメーヌのワインの背骨は、モンタリヴェ地区の区画から来ています。そこでは、土壌は海の粘土と砂で構成されています。モンタリヴォは、南向きで、ブレンドでフィネスをもたらします。全ての区画の名前をあげることはしませんが、それぞれの区画がワインの複雑さにどのように影響を与えているのかを見るのは、興味深いです。例えば、パレストールはフレッシュさをもたらし、ボワ ドーファンは古代の沖積土、粘土、砂で出来ていて、それがストレートさを与えており、またピエ ボーは、粘土質の丘の斜面にあって、力強さをもたらしています。クロ デュ モン オリヴェでは、ワインは重みのある土台を持っています。肉付きが良くて太陽を感じさせつつ、フルーツ、よりしっかりしたタンニンがあり、これらがゆっくりと基礎を作り、時にはアクセントになり、野性的なニュアンスとなります。しかし、時と共にこれらのワインは、洗練され、不思議な魅力を持つようになります。驚くべき複雑さを持って。」 「ルヴュ ド ヴァン ド フランス2009.04」
<父 ジャン クロード サボン(写真右)>2004年ワイナリー訪問時
私どもが初めてサボン家を訪れたのは1995年のことでした。当時、ワイン造りを行っていたのは、ティエリ(写真左)の父であるジャン クロード サボン氏。当時から葡萄を収穫する際には、バケツを2つ用意して充分に熟した葡萄しかシャトーヌフ デュ パプに使用しないといった品質へのこだわりがありました。彼のドメーヌを初訪問した夜、レストランで1980年の彼のシャトーヌフ デュ パプを飲みました。それはようやく飲み頃を迎え、信じられないほどの素晴らしさでした。こうしたサボン家のアイデンティティともいえる、とてもクラシックで、力強くスパイシー、長期の熟成に耐えるスタイルのワインを、今ではティエリが受け継いでいます。
<農夫の手>2004年ワイナリー訪問時
右はティエリの手と、左はジャン クロードの手。