「このドメーヌの素晴らしいワインはもっと知られてよいはずだ」
――『ワイン アドヴォケイト2018.9.1」より。
国 | フランス |
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地域 | ブルゴーニュ |
歴史 | 1830年からワイン造りをする家系 1920年 アントワーヌとヴィクトリーヌ ソメーズ(祖父母)がワイン造りを始める。 1971年 レオン ソメーズが、サン ヴェランがAOCに認定された時からワインのボトル売りを始める。 1982年 21歳でジャックが父から引き継いだ2haの畑でワイン造りをスタート。 1987年 ナタリーと結婚。一緒にワイン造りに参加、畑は5haに。 1994年 サン ヴェラン ポンセティを引き継ぐ。 1996年 プイイ フュイッセ クールトロンを購入。 2001年 マコン ビュシェール モンブリゾンを引き継ぐ(妻の実家の畑だったものを引き継ぐ) 2007年 プイイ フュイッセに新しい畑プティ クロワを購入。 2013年 ジャックの息子アントニーがワイン造りに参加。 |
オーナー | ジャック ソメーズ : 1961年生。ソメーズ家の3代目
ナタリー ソメーズ :妻。販売を担当。収穫時は収穫人の世話をする。畑仕事も手伝う。 アントニー ソメーズ :息子。1989年生。タヴァイエの高校で栽培と醸造を学び、その後南アフリカで実習。2012年にワイン造りに参加。 |
葡萄園 | 13ha プイイ フュイッセ5a、サン ヴェラン5ha、マコン 3ha |
栽培 | 畑での仕事の多くは、手作業で行われます。何年も前から、硫黄の使用や殺虫剤の不使用を含め、環境に配慮した処置をしています。殺虫剤は使いません。通常、無添加堆肥を使用しています。 |
<情報リンク>
クリュの個性を見極めてテロワールを表現する
ジャック ソメーズは1982年に、わずか2haの葡萄畑からワイン造りをスタートしました。1987年にナタリーと結婚し、一緒に働くようになりました。その頃には葡萄畑は5haほどに増えていました。2012年には、1989年生まれのアントニーがドメーヌに参加し、家族のワイン造りをささえています。アントニーは、地元ダヴァイエ(サン ヴェランを産出する村)の醸造学校で学んだ後、南アフリカで研修しました。葡萄畑は現在、合計で13haとなり、プイイ フュイッセ5a、サン ヴェラン5ha、マコン3haから素晴らしいワインを生産しています。
父レオンの時代には、区画ごとのワイン造りは行なわず、ブレンドして多くをバルクで販売していましたが、ジャックは区画ごとのテロワールに着目し、それぞれ別のワインとして醸造を始め、自社での瓶詰を増やしてドメーヌの名声を高めました。近年、プイイ フュイッセでプルミエ クリュが承認され、2020VTから表示することが可能となりました。サン ヴェランでも将来的にプルミエ クリュが誕生すると言われています。ソメーズでは、どちらも一部の区画がプルミエ クリュに該当しますが、ジャックは「プルミエ クリュになっても、今までと何も変わらないよ」と話しています。
ソメーズの特徴は、プイイ フュイッセやサン ヴェランだけでなく、マコン ヴェルジッソンやマコン ビュシエールであっても、クリュの個性を表現したワインを造っていることです。一般的には、サン ヴェランよりもプイイ フュイッセの方が格上に見られがちですが、ソメーズのワインを飲むと、それぞれに優劣があるのではなく、キャラクターの違いがあるのが魅力なのだと実感できます。例えば、サン ヴェランでは「ポンセティ(FB-519)」の柔らかいシャルドネの理想形のような味わいや、「アン クレッシュ(FB-967)」のコクがありながらフルーティさが楽しめる味わい、プイイ フュイッセでは「シュール ラ ロシュ(FB-969)」の標高の高さと土壌に由来するフレッシュな酸とミネラル、木樽に負けないエネルギーが感じられる味わいや、「レ クルゼット(FC-199)」の熟したりんごや蜂蜜を思わせるまろやかな味わい等、それぞれの個性に上下関係はなく、キャラクターの違いとして楽しむことが出来ます。
『デカンター2020.2』の記事、「BURGUNDY 2018」でティム アトキン MWが注目する生産者10軒に選出されています。また、『ル ギド デ メイユール ヴァン ド フランス2018』では、「プイイ フュイッセ シュール ラ ロシュ 2015(FB-969)」が18/20点(96/100点)を獲得するなど、素晴らしい評価を得ています。
※『ル ギド デ メイユール ヴァン ド フランス』の採点方法は、2021年版から、20点法ではなく100点法に変わりました。20/20は100/100、19.5/20は99/100、19/20は98/100、18.5/20は97/100、18/20は96/100に対応しています。
「古木が多いので畑では手作業。認証は無いが、オーガニックな栽培」 何年も前から、硫黄の使用や殺虫剤の不使用を含め、環境に配慮した処置をしています。殺虫剤は使いません。通常、無添加堆肥を使用しています。収穫は、20人程で、1~2週間かけて行います。
「区画ごとのワイン造り」 父レオンの時代は、区画を分けることはしていませんでしたが、ジャックの時代になってから、区画ごとに分けて醸造を行うようになりました。畑の向き、樹齢で、味わいが大きく変わるからです。父の時代はバルク売りの比率も高かったのですが、ジャックになって95%が元詰め、5%のみ昔からの付き合いのあるネゴシアンに卸しています。
「キャラクターの違いは、A.O.C.ではなく畑の違いから」 現地で実際に見ると、それぞれの畑は近い位置にあり、アペラシオンの優劣があるとは感じられません。あるのは、畑の違い(標高、土壌、斜面の向き)によるキャラクターの違いです。
<評価>
評価 ヒュー ジョンソン「ポケットワインブック2019」に、プイイ フュイッセの優良生産者として掲載。「ヴィノス」、「ラ ルヴュ ド ヴァン ド フランス」、「ギド デ ヴァン ベタンヌ + ドゥソーヴ」、「ル ギド アシェット デ ヴァン」に毎年のように掲載され、高い評価を得ている。
「ソメーズ家はサン ヴェランで5haの畑を耕作している。ジャック ソメーズはこう説明する。「アン クレシュとコート ロティは間違いなく、プルミエ クリュに認定されるでしょう。しかし、シャテニエについてはまだ分かりません。標高が高く、北東向きのため、成熟が遅くなります。我々はこのワインのフレッシュさが気に入っているので、単一の区画でワインにしています。熟成はフードルを使用します。」――『ラ ルヴュ デュ ヴァン ド フランス№653』より
「ジャック ソメーズと妻のナタリーは1981年にヴェルジッソン村に8.5haのドメーヌを設立した。2012年から息子もワイン造りに加わる。葡萄樹の多くは樹齢が古く、土壌は耕される。ナタリーによると、彼らの手法は実質的にオーガニックとのことだ。醸造、熟成はタンクと樽で行い、毎年約20%の新樽を使用する。ジューシーだが慎重にバランスが保たれている。このドメーヌの素晴らしいワインはもっと知られてよいはずだ。」――『ワイン アドヴォケイト 2018.9.1』よりウィリアム ケリーのコメント
「ジャックは、ロジェ ソメーズの弟で、父親が1993年に引退してソメーズ家のドメーヌが2人のあいだで分割されたため、多くの畑を共同で所有している。正式には有機農法の認定を受けていないが、畑は鋤入れを行い耕作する。私が始めて会ったとき、ジャック ソメーズはつるはしを持っており、夏の暑い日であるのにサン ヴェランの急な斜面の畑でブドウ畑の土を1本ずつならしていた。サン ヴェランの古樹とプイイ フュイッセはすべて木樽で発酵、熟成し、新樽を20%ずつ用いる。」――『ブルゴーニュワイン大全』 ジャスパー モリスMW著
<ジャック&ナタリー>2001年ワイナリー訪問時
ソメーズ家は、ヴェルジッソンの村で1830年よりワイン造りを行う伝統の造り手です。5人の兄弟が皆マコンでワイン造りをするため、いくつかのソメーズ姓があります。