生産者情報

パトリック スティランPatrick Soutiran

アンボネの生産者でありながらシャルドネのエキスパート

唯一無二の個性を放つ家族経営のRM生産者

パトリック スティラン
パトリック スティラン
パトリック スティラン
パトリック スティラン
パトリック スティラン
パトリック スティラン

生産者情報

フランス
地域 シャンパーニュ
歴史

パトリックがアヴィーズの農学校でワイン造りを学ぶ

1966年 父の仕事を手伝い始める

1971年 父から譲り受けた1.0haと、親戚の畑1.2haをフェルマージュ契約で借り受け、シャンパーニュ造りを開始。

しかし、それだけでは生活が成り立たず、アンボネの農協で働く。

1986年 農協を辞める。

1987年 セラーを設立。

オーナー

パトリック スティラン : 1949年生まれ。5代目

 

エステル : 娘。2007年から参加。

ファブリス : 息子。2013年から参加。

葡萄園

3.1ha 父と義父から譲り受けた畑1.2ha、複数の地主と賃貸契約している1.4ha、30年の間に購入した畑0.5ha。

1.3ha アンボネ村のピノ ノワール(100%グラン クリュ)、樹齢30~100年

0.9ha アンボネ村のシャルドネ。1970年植樹

0.9ha トレパイユ村のシャルドネ、95%のプルミエ クリュ格付け。1970年に植樹。

<情報リンク>

パトリック スティランのワイン一覧はコチラ>>

<映像>

圧搾の様子

シャンパーニュの決まりでは、収穫した葡萄の4,000kgにつき、搾った2,550ℓのみシャンパーニュに使うことができます。その内、最初に搾った2,050ℓを「キュヴェ」(La Cuvée)と呼び、その後で搾った500ℓを「タイユ」(La Première Taille)と呼びますが、パトリック スティランでは最初に搾る「キュヴェ」のみをシャンパーニュに使っています。「タイユ」はこの地方で有名なマール ド シャンパーニュにしています。

映像では、とてもゆっくり慎重にプレスしている様子が分かります。

 

偉大なピノ ノワールで知られるアンボネ村のRM生産者。

自社所有畑には樹齢100年ほどの古木も植えられています。

パトリック スティランは、RM(レコルタン マニピュラン)と呼ばれる自家栽培・自家醸造の小規模生産者です。ピノ ノワールの生産が盛んなモンターニュ ド ランスの中でも、特に偉大なピノ ノワールで知られるアンボネ村に位置しています。自社所有のアンボネ村のピノ ノワールの畑は、最高で樹齢100年ほどとなっており、非常に集約感のあるジュースが得られます。アンボネ村のピノ ノワールは芳醇で力強い特徴を持っており、ブラン ド ノワールには特にその特徴が表現されています。「典型的なテロワールを活かしたシャンパーニュにしたい」と語るパトリックのワイン造りは、「シャンパーニュ」という煌びやかな言葉の響きとは対極にあり、ひとつひとつの工程を丁寧に自らの手で行なっています。

 

アンボネ村では珍しいシャルドネの名手

パトリック スティランは、アンボネ村のピノ ノワールを100%使用したブラン ド ノワールを生産していますが、トップ キュヴェにはアンボネ村のシャルドネ100%のブラン ド ブラン「プレシューズ ダルジャンを据えています。ロゼ シャンパーニュにもアンボネ村のシャルドネを90%使用し、樽熟成したコトー シャンプノワ ルージュ(ピノ ノワール)をブレンドしています。また、ピノ ノワールが多いモンターニュ ド ランスの中でも、秀逸なシャルドネで著名なトレパイユ村(プルミエ クリュ格付け)からも、シャルドネ100%のブラン ド ブランを生産しています。小さな家族経営の個人生産者だからこそ出来る、個性的なシャンパーニュ造りがパトリック スティランの特徴です。

 

父から学んだ畑仕事と、伝統的なプレス機でのシャンパーニュ造り

1971年、パトリックは父と義理の父から与えられた1.2haの畑でワイン造りを始めました。また、親戚の畑1.4haをフェルマージュ契約で借り受けましたが、それだけでは生活が成り立たず、1986年まではアンボネの農協でも働く日々が続きました。父、ゲラールの時代には育てた葡萄を農協へ売っており、シャンパーニュは生産していませんでした。そのため畑での仕事は父から学びましたが、シャンパーニュ造りに関してはアヴィズの農学校で学んでいます。パトリックは、父の代から受け継いだ古いプレス機を今でも使っています。このプレス機は、シャンパーニュ地方の伝統的な木製のものですが、珍しい正方形の形をしており、蓋をするようにゆっくりとプレスすることで、1回ではジュースが流れ出ないような優しい圧力で葡萄を潰すことが出来ます。また、縁にある葡萄を中央に戻してもう一度プレスすることで、葡萄が葡萄を押し潰し、より品質の良いジュースが得られます。(実際のプレスの様子は、下の動画をご参照ください)

 

一番搾りにあたる「キュヴェ」のみを使用

パトリック スティランでは得られたジュースの内、1番搾りにあたるキュヴェのみを使用しています。キュヴェは、2番絞りにあたるタイユと比較すると、酒石酸やリンゴ酸などの有機酸が豊富に含まれ、よりピュアなアロマがあり、長期間フレッシュさを保つことが出来るため熟成に向くとされています。シャンパーニュでは規定により、収穫した葡萄から得られる果汁の量が決まっているため、生産量は少なくなりますが、品質を重視したシャンパーニュ造りを行うために、この手法を取り入れ続けています。

 

エステルが「Les Jeunes Talents du Champagne 2018」にて

アッサンブラージュ部門(RM)のファイナリストに選出!

パトリック スティランには、新たに2007年から娘のエステル、2013年から息子のファブリスが参加しています。2018年に開催された「Les Jeunes Talents du Champagne(シャンパーニュの若き才能)」と題したコンテストでは、エステルが、「シャンパーニュ グラン クリュ ミレジム 2008」でアッサンブラージュ部門(RM)のファイナリスト3名のうちの1名に選出されました。残念ながら受賞は逃してしまいましたが、その品質の高さが証明される結果となりました。パトリック スティランは、わずか3.1haしか栽培していないため、生産量も非常に少なく、ほとんどは国内の個人客やレストランに販売されています。輸出が少ないため、海外のワインガイドで取り上げられることはほとんどありませんが、フランス国内のワインガイド『Le Guide Hachette des Vins』では毎年のように取り上げられており、最新の2020年版でも、「ブラン ド ブラン プルミエ クリュ NV」が1ッ星評価で掲載されています。

 

「数少ないレコルタン マニピュランの生産者」

スティランのように、自ら葡萄を栽培し、醸造・瓶詰めまで行う生産者のことを「レコルタン・マニピュラン」(Récoltant-Manipulant, RM)と呼びます。ブルゴーニュで言えば「ドメーヌ」とついている生産者のことですが、日本へ輸出されるシャンパーニュ全体の内、レコルタン・マニピュランのワインはたった6.5%(シャンパーニュ委員会発表による2014年実績)しかありません。スティランの販売先もほとんどが個人客やフランス国内のレストランや小売店で、とても貴重なシャンパーニュと言えます。

 

「古い樹齢の樹を所有」

アンボネ村のピノ ノワールは最高で100年樹齢。そのほかの葡萄も樹齢が高く、自ら葡萄を栽培するレコルタン マニピュランの生産者だからこそできる特徴が表れています。

 

<評価>

ル ギド アシェット デ ヴァン」に、毎年のように掲載。

パトリック スティラン

<動瓶は手作業>

ルミアージュ(動瓶)は、手作業で行っています。