D.O.C.クストーツァの生みの親
飲んだ人が「これカヴァルキーナのワインだね」と分かるワインが造りたい
国 | イタリア |
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地域 | ヴェネト |
歴史 | 1848年 地域の重要な生産者としての記録があり。 カヴァルキーナの名は地域名で、カヴァルキーニ伯爵の邸に因む。 1911年 ピオーナ家の所有となる。 1948年 革職人のルチアーノの祖父が、趣味としてワイン造り。 1962年 ビアンコ ディ クストーツァを、ヴィーノ ダ ターヴォラとして瓶詰め。 1971年 ビアンコ ディ クストーツァ、D.O.C.に認定。 1987年 ルチアーノ ピオーナが引き継ぎ、ワイン造りに注力する。 2018年 ルチアーノの息子フランチェスコが参加。 2021年 ルチアーノの娘ジュリアが参加。 2021年 ルチアーノピオーナが逝去。その後は長年ルチアーノとワイン造りを共にしてきた 弟フランコを中心に、フランチェスコ、ジュリアと共にワイン造りを継続 |
オーナー | ピオーナ家 |
葡萄園 | 25ha 畑には、祖父が1962年に初めてクストーツァを造った時の葡萄があり、新たに植樹する際は、この樹のクローンを使い、畑に昔からある葡萄の特徴を受け継いでいこうとしている。 |
栽培 | 一列おきにマメ科の植物を植える。土を掘り返して柔らかくして保水性を高め、養分を吸収出来るようにする。 |
<情報リンク>
ピオーナ家のワイナリー 詳細ページ
「古くからこの地区の重要な生産者」
カヴァルキーナの名は、ワイナリーのある地域の名前で、カヴァルキーニ伯爵の邸があったことに因んでいます。ワイン造りの歴史は古く、1848年には既にクストーツァの地域において最も重要なワイン生産者として記録されています。また、オーストリアのハプスブルグ家が作成した地図では、第1級、第2級に格付けされました。1911年にはピオーナ家が所有者となり、1948年にルチアーノの祖父が自分用のセラーを建設しました。タンクをステンレスタンクに変更したり、設備を刷新したりしてきましたが、今でもそのセラーを使用しています。祖父は、クストーツァの典型的な葡萄品種を栽培していました。1962年、伝統的な葡萄品種から、新しいブレンドの白ワインを造り、そのワインを「クストーツァ」と名付けました。質よりも量が重要視されていた当時、このような品質を重視したプレミアム的なタイプのワインを市場に送り出すことは容易ではありませんでしたが、粘り強い努力の結果、1971年にD.O.C.に指定されるまでになりました。
「ガルダ湖がミクロクリマを生成」
畑は、ガルダ湖の氷河によって形作られた、太陽の光に恵まれた半円形の盆地にあります。湖自体が、温度や風によるミクロクリマの重要な要因となっています。土壌は混じっていて、石が多い部分や石灰質や粘土質など様々です。標高は100~150mです。
「地元でも広くオンリスト、品質が安定」
ヴェローナの多くのレストランでワインリストに載せられています。また、カヴァルキーナのワインを扱い始めて30年以上になりますが、ヴィンテージによる品質のバラツキは皆無といってよく、その安定感には絶大な信頼をよせることが出来ます。
「ガルダ湖南部地区は産地としての復活を遂げつつあるが、それはフランコとルチアーノ・ピオーナのカヴァルキーナのようなワイナリーのおかげだ。広いブドウ園を所有していて、ワインは常に軽やかさ、香り高さ、ミネラルを持っている。それらは完璧にバルドリーノとクストーザの特徴でもあり、これらのワインはピオーナ家では深み、個性、豊かさのバランスをとって造られている。ピオーナ兄弟のワインのラインナップは本当に幅広い。」
「ガンベロ ロッソ イタリアワインガイド2018」より
<ルチアーノ ピオーナ>1998年訪問時に撮影
ルチアーノ ピオーナはカヴァルキーナ、ラ プレンディーナ、トッレ ドルティの3つのカンティーナでワイン造りを行っていますが、どのワインも「なぜこんなに美味しいのだろう?」と考えてしまうほど、毎年品質が安定しています。それは彼のワイン造りの哲学が「人間」にフォーカスしていることに他なりません。これまで彼が語った言葉にそうした哲学が現れています。
「私は、伝統と、クストーツァで生まれ育ったということ、そして私自身の感性を尊重してワイン造りを行っています。葡萄は、気候や土壌の影響を受けています。しかし、どのようなワインになるかは、造る人次第なのです。私は、世界のベストワインを造りたいとは思っていません。人が私のワインを飲んで、「あ、これカヴァルキーナのワインだね」と分かるワインが造りたいと思っています。もし、世界中の人が同じようなワインを造るなら、ラベルはひとつでいいのです。」2013年来日時のコメント
「どうやって良いワインをこんなに沢山造っているのですか?」という質問に対して:
「私自身は特別なことは何にもしていないです。ただ、プランニングをして、いかに安くいいワインを造るかを考えています。ワイン造りは難しくありません。ただ、センスとパーソナリティーとアイデアがワイン造りに必要だと考えています。よくテロワールをコンセプトにする人がいますが、勿論テロワールは必要だけれども、大切なのは天候や品種ではありません。大切なのは人間です。同じ畑でワインを造っても、違う人間が造ったら別のワインになります。だから人間こそテロワールの中になくてはいけません。例えば、クストーツァは、私が子供の頃から育った場所であり、思い入れがあってイメージがあります。イメージを持つことこそが、私のバックボーンにあるものであって、それがワインになければ、いいワインはなりません。」2011年訪問時