歴史ある家族経営の小規模生産者が、伝統的製法を最新技術で活かして造る
こだわりが詰まった品質重視のランブルスコ
国 | イタリア |
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地域 | エミリア ロマーニャ |
歴史 | 1918年 アルフレードがこの地にワインの普及と発展に大きな役割を果たした醸造組合に閉鎖の際 機材の一部を受け継ぐ 1925年 レッジョ エミリア県南部、スカンディアーノでアルフレード ベルトラーニによって設立 1960年代 2代目のヴィンツェンツォが畑を改革に注力。 1970年代 3代目のジャンカルロが引き継ぐ。 瓶内二次発酵からシャルマ方式に変えるなど、大きな技術革新を行う。 1980年代 当時の最新の技術を導入し、ボトリング技術を向上させる。 2008年 4代目の二コラ、アンドレア、エレナが引き継ぐ。 サスティナビリティを重視した新しいセラーが完成。 |
オーナー | 二コラ アンドレア エレナ |
葡萄園 | 契約畑 ベルトラーニ家は長年にわたり農家と緊密な関係を保った、信頼のおける小規模な栽培農家と契約 |
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サステナビリティを重視したワイナリーから土地の文化を伝える
アルフレード ベルトラーニは、エミリア ロマーニャ州のレッジョ エミリア県南部に位置するスカンディアーノの地で、1925年に設立された家族経営のワイナリーです。当時、葡萄の仲買人だったアルフレード ベルトラーニが、この土地の葡萄や畑についての幅広い知識を生かし、自らの名を冠したワイナリーを設立しました。現在は、4代目の二コラ、アンドレア、エレナの3人で運営しています。2008年には、サステナビリティを重視したワイナリーを新たに建設し、自然に囲まれた場所へと移転しました。その理由は、「葡萄畑の景観を損なうことなく、この土地の美しさとワイン生産の文化を伝えるため」だと言います。建物は自然環境への影響が少なくなるように設計されており、木材を多く使用し、エネルギーの保全や、再生可能なエネルギーを利用することを重視しています。たとえば、地下には雨水をためる大型の貯水タンクがあり、この雨水を灌漑に再利用します。断熱材を使用することで熱の拡散を抑え、60〜70%もの熱エネルギーの節減を実現しています。屋根にソーラーパネルを設置し、太陽光発電を行っています。
スカンディアーノの丘陵地に広がる葡萄畑
アルフレード ベルトラーニでは、常に品質を重視し、この土地の特徴、個性を表現したワイン造りを行なってきました。エミリア ロマーニャ州は平地がほとんどを占め、丘陵地はわずか15%しかありません。アルフレード ベルトラーニは自社畑を持たず、10軒ほどの栽培農家と契約していますが、畑はすべて丘陵地に位置しています。このエリアは何世紀も前から、素晴らしい葡萄ができることで知られていました。理想的な日照があり畑には風が吹いていることや、昼と夜、そして季節ごとの気温差があること、粘土石灰岩質の土壌などのすべての要素が、トップクオリティの葡萄が育つ最高の条件をもたらしています。葡萄は果汁の状態で購入していますが、畑での作業内容や収穫のタイミングなどを農家と話し合いながら、ベストな状態になるように指示しています。長年にわたり緊密な関係を保っており、以前までベルトラーニ家が所有していた畑を所有している農家もおり、家族のような関係です。アルフレード ベルトラーニでは、量よりも品質を重視するため、収量制限を行い、高品質な葡萄を得ることにこだわりを持っています。
スカンディアーノ醸造組合について
アルフレード ベルトラーニを語る上で、1876年から1918年までの間、スカンディアーノのワインの普及と発展に大きな役割を果たしたスカンディアーノ醸造組合(Societa Enologica Scandianese)との関係性は避けて通ることができません。1874年、有力な地主たちが集まって誕生したこの組合は、スカンディアーノのボイアルド城の敷地内にありました。当時は地元消費が一般的でしたが、1876年のフィラデルフィア、1878年のパリの展示会に出展し、この土地のワインを国外に広めました。また、スカンディアーノ醸造組合は、生産者同士の技術や知識の意見交換の機会を与える重要な場所でもありました。しかし、この組合は第一次大戦の後、1918年に閉鎖を余儀なくされました。
それぞれの世代が品質向上に取り組む
アルフレードは、この組合と仕事上のかかわりを持っていたため、組合が使用していた機材の一部を受け継ぐことができました。こうして、1920年からセラーの建設を始め、1925年には自らの名を冠したワイナリーをスタートさせることとなりました。アルフレードのモットーは、「シンプルに、実直に、そして清潔であれ」というものでした。彼は、妻と息子達とともに懸命に働き、自分達の土地のワインであるランブルスコとビアンコ ディ スカンディアーノの生産と販売に力を入れました。ベルトラーニのワインは次第に人々の信頼を集め、良い葡萄を見極める力と丁寧な仕事による「品質重視のワイン造り」によって、ワイナリーを発展させていきました。
1960年代になると、アルフレードの息子のヴィンツェンツォが、このエリアにあるすべての畑に行き、土壌や葡萄の状態を隅々まで見て回りました。そして自分達のワインのために最適な葡萄を選びました。彼は栽培農家に、収穫のベストなタイミングや、それぞれの畑にどの品種が適しているかなどのアドバイスを行いました。
1970年代、3代目となるジャンカルロがワイナリーに加わりました。この時代はちょうど、ワイン生産に関する大きな技術革新が行われた頃でした。醸造プロセスが革新的に変わり、ワインの品質を高め、寿命を長くすることに力が注がれました。それまでは瓶内での発酵が行われていましたが、オートクレーヴ(密閉式の耐圧タンク)によるシャルマ方式が使われるようになり、ワインの状態が安定し品質が高まりました。1980年代に入るとランブルスコの生産量が増えた為、技術面の発展にさらなる努力を費やしました。ボトリングの際に行う低温での滅菌処理や、酸化を防ぐ技術に注力しました。これらの努力によってボトリング技術の専門性を高めた結果、他のワイナリーからボトリングの依頼を請け負うようになりました。また、コンピューターでの品質管理も導入しました。その後、2008年にはジャンカルロから、4代目のアンドレア、二コラ、エレナへと引き継がれました。彼らもまた、さらに品質を向上すべく努力を続けています。
ワイン造りの哲学
醸造を担当する二コラは、「私たちのワイン造りの核となる部分は、伝統的なワイン造りの方法をキープしながら、モダンなテクノロジーを導入することで、最高の状態でワインをお届けすることです」と話してくれました。アルフレード ベルトラーニでは、ほとんどのランブルスコを、異なる品種(ランブルスコ サラミーノやランブルスコ マラーニ、アンチェロッタ等)の伝統的なブレンドで造っています。彼らのワインは国内市場、特にエミリア ロマーニャで成功しており、販売比率はイタリアが69%、海外が31%です。ランブルスコの産地であり、素晴らしいランブルスコの選択肢が多いエミリア ロマーニャでの成功は、彼らのワインの品質の証ということができます。
「私たちは、安価なワインを大量に販売しようとは考えていません。安価なワインは、原料である葡萄の価格も低いといえます。葡萄の価格を低くするためには、収量制限を行なわず、大量生産すればよいということになります。また、葡萄の数が多くなると病害も発生しやすくなるため、殺虫剤を使って対応する生産者もいます。しかし私たちはあくまで、高品質なワインを造るためには、高品質な葡萄が必要だと考えているのです。収量制限をしっかりと行い、栽培農家と関係を築き、ベストな状態で収穫した葡萄を使用しています」と二コラは話していました。
伝統を活かすために技術を取り入れる
「ワイン、そして葡萄はヴィンテージごとに異なるキャラクターを持っています。祖父がやっていた時代と同じ仕事ではありますが、それだけではなく、必ず新しいことをするようにしています」とニコラは語ります。収穫した葡萄は、果皮についている天然酵母を使用するほか、このエリアに由来する選別酵母を使用することもあります。二コラは、ワイン造りにおける重要な点として、発酵と発酵の際の温度管理を挙げています。なぜなら、この工程はワインの香りや味わいに非常に大きな影響を及ぼすためです。使用するすべてのタンクはコンピューターによって管理されており、発酵工程を追跡できるようになっています。
ワインを安定させるため、最新式のフィルターを使用してボトリングします。また、より安全性を高めるために、ボトルやボトリングの機材に対し蒸気による殺菌を行なっています。ワインを加熱殺菌するパスツリゼーションとは異なり、設備を殺菌するためワインへ直接的な影響が出ないようにしています。また、これによりワインに添加するSO2の量を減らすことができ、ありのままの味わいを表現しています。さらに、ボトリングの際には窒素を充填して酸化から守り、品質を長くキープできるように工夫しています。このように醸造の工程は伝統的ですが、最新技術を用いて品質管理を行うことで、ワインをより良い状態で提供できるようにしています。