生産者情報

テヌータ ラ ヴィオラTenuta La Viola

「金のカップで飲むに値するワイン」の言い伝えが残る土地ベルティノーロで

僅かな数量のみ生産されるエレガントなサンジョヴェーゼとアルバーナ

テヌータ ラ ヴィオラ
テヌータ ラ ヴィオラ
テヌータ ラ ヴィオラ
テヌータ ラ ヴィオラ
テヌータ ラ ヴィオラ
テヌータ ラ ヴィオラ
テヌータ ラ ヴィオラ

生産者情報

イタリア
地域 エミリア ロマーニャ
歴史

1962年 ガベッリーニ家がロマーニャの内陸部から

      ベルティノーロに畑と土地を購入し、移り住む。

1998年 テヌータ ラ ヴィオラ設立。

オーナー

ステファーノ ガベッリーニ 

葡萄園

自家畑10ha + レンタル2ha 

栽培

1999年からオーガニック栽培。

2016年に有機栽培認証ユーロリーフを取得。

2018年からビオディナミを実践。

 

<情報リンク>

テヌータ ラ ヴィオラのワイン一覧はコチラ>>

1600年前の言い伝えが残るほど古くから知られる銘醸地

テヌータ ラ ヴィオラは、1998年にエミリア ロマーニャ州南部のベルティノーロの丘陵地に設立されました。丘の斜面からは、東にアドリア海を見下ろすことが出来ます。また一方でアペニン山脈にも近いことから、独自のマイクロクライメイトがあり、日々、穏やかな風が吹き抜けるエリアです。言い伝えによると、ローマ皇帝テオドシウス1世の娘、ガッラ プラキディアがこの地にやってきた際に質素なカップで出されたワインを飲み、「このワインは、そのような粗末なカップにはふさわしくなく、金のカップで飲むに値する(berti in oro)」と称賛したことが地名の由来とされています。現在、ベルティノーロはワインの町としても知られており、白はアルバーナから、赤はサンジョヴェーゼから素晴らしいワインが造られています。

 

ガベッリーニ家の伝統と想いをワイン造りに表現

ワイナリーのオーナーであるガベッリーニ家は、エミリア ロマーニャ州の内陸部からベルティノーロに移住し、1962年に畑を購入しました。現在、ワイナリーを牽引するのは、ステファーノ ガベッリーニです。ステファーノは幼い頃から畑仕事を手伝っていたものの、電気技師としての道を歩んでいました。その後、父の死をきっかけに実家のワイナリーを継ぐことを決意しました。「ワイン造りはガベッリーニ家の伝統の重要な一部を占めていました。ゲストに自家製ワインを提供することは、労力をかけた葡萄に対する愛と誇りを、ゲストと分かち合うことを意味していました。

 

その当時から、ワインはただの飲み物ではなく、人と人を結び付け、かけがえのない時間を一緒に過ごす手段のひとつでした」とステファーノは語ります。ガベッリーニ家は現在、およそ10haの自家畑を所有しており、年間生産量は5万本ほどと小規模なワイン造りを行なっています。ステファーノの目指すワインは、「タンニンはしっかりとしていていながら、クリアで、上品な果実味がありジューシーなワイン」です。そのために樽の比率を抑えながら、ステンレスタンクの他に、コンクリートタンクや、ジョージア産のアンフォラを使用しています。2010年頃から、ステファーノの目指す方向性と同じ考えを持つ、ジュゼッペ カヴィオラにコンサルタントを依頼しており、主にブレンドについてアドバイスを受けています。

 

オーガニックで管理する美しい葡萄畑

葡萄畑はすべて、1999年からオーガニックで管理しており、2016年には有機認証(ユーロリーフ)を取得しています。ただし、「イタリア国内ではオーガニックマークがついていると、かえって質の悪いワインとして見られてしまうことがある」とステファーノは話しており、ラベルにはあえて表示していません。また2018年からは、地中の微生物の活動を活性化するため、ビオディナミ栽培を実践し始めました。除草剤は使用せず、畝の間に生やした草を刈り取って土にすき込み、土の養分になるようにしています。日々の畑仕事や収穫はすべて手作業で行っており、選果テーブルは使用せず、収穫の際に畑で選別を行っています。「人々、そして葡萄自身の健康を維持し、個々の畑が自然のバランスを保ち、葡萄が自然なアロマや鮮やかな色合い、包み込むような調和を保つことを目指しています」。

 

古代の海洋性堆積物が豊富に含まれる優れた土壌

ベルティノーロのテロワールを決定づける重要な要素は、「スプンゴーネ」と呼ばれる石灰を含む砂岩です。このエリアはかつて海底だったため、スプンゴーネには貝殻や砂などの古代の海洋性堆積物が豊富に含まれています。もともとは鮮新世の中期ごろに出来た海洋性の堆積物(比較的浅瀬の海)で、今から 300 万年ほど前の時代のものです。スプンゴーネはスポンジ状という意味で、地元では「スプーニョ」または「スプンゴ」と呼ばれています。特に、このエリア周辺の丘を構成している石灰を含む砂岩を指し、この土地の地質を特徴づけ、農産物、等にワインやオリーブオイルの生産に影響を与えています。

 

この複雑な土壌組成がワインにミネラルの要素を与え、しっかりとした酸をもたらし、長期熟成出来るワインを生むとされています。ステファーノは「ベルティノーロの土壌はボルゲリに似ていますが、より繊細なタンニンを生み出します。時にトスカーナのマレンマやボルゲリのワインは、重すぎたり、熟しすぎたりしているものもありますが、自分のスタイルはそうではありません。クリーンで心地よい酸があり、風味豊かなワインです。ボルゲリとは異なり、重たくないスタイルを目指しています」と話していました。この特徴的なテロワールによって育てられたサンジョヴェーゼは、酸とミネラルが豊富な味わい深いものになります。この環境で育てられた素晴らしい葡萄から、ステファーノが理想とするエレガントなワインが生み出されます。

 

なるべく手を加えない昔ながらの醸造への回帰

ステファーノは、ワインの醸造の際には、天然酵母による偶発的なアルコール発酵の方が好ましいと考えています。天然酵母の方がヴィンテージや土地の特徴をよりよく表現できると思っているためです。実際に最近のヴィンテージ(2019年と2020年)はすべてのワインが天然酵母で発酵されています。ただし、天然酵母だけでは発酵がどうしても上手く行かない場合には、選別酵母を使って対応しています。天然酵母による発酵は完全にコントロールすることが難しいため、時には予期せぬ事態に直面します。例えば「イル コロンバーネ ロマーニャ サンジョヴェーゼ スペリオーレ(I-854)」は、通常なら発酵に3週間はかかっていたのに対し、2018VTはわずか10日間で終わってしまったそうです。「正直なところ少し心配していました。発酵期間が短かったため、葡萄の果皮からの抽出があまり多くなかったからです。しかし、ボトリングしたワインはどんどんエレガントになったため、非常に気に入っています」とステファーノは話していました。

 

また、一部のワインでは、発酵や熟成にアンフォラを使用しています。アンフォラはジョージアまで行って探してきたそうです。「樽を使うことを悪いと思ってはいません。樽を使うことは素敵な服を着せるようなものですが、一方でアンフォラは裸、ピュアな姿を表現できます」。現在も古いバリックは使用していますが、使用比率を下げ、大樽やコンクリートタンク、アンフォラを使うことで、木樽の風味が付き過ぎないようにしています。