いかに効率良く合理的に高品質のワインを造るか!?無名生産者ならではの新しい方向性に注目
国 | ドイツ |
---|---|
地域 | モーゼル |
歴史 | ワインに携わっていたが、戦争の際に、家とワイングートを破壊された。その際、ワイングートとして証明するものをすべて失ってしまった。そのため、ワイングートは名乗っていなかった。 父の時はもっと規模が小さく、混合農業を行っていたが、今はワイン一本で、別の畑は人に貸している。 |
オーナー | トーマス バルテン : 1968年生。3代目。ベルンカステルなどの醸造学校で6年間ワイン造りを学んだ。
マクシミリアン : 息子 |
葡萄園 | 5.6ha 0.6haは植えたばかりでワインは造れない。 ヴェレナー ゾンネンウーア(0.3ha)、ツェルティンガー ゾンネンウーア(0.5ha)等 畑の50%以上が急勾配の斜面で、その傾斜は40%~75%。
リースリングがメイン。ムスカテラー、グラウブルグンダー等、香り高いブーケのある品種が市場で求められているため、植えている。借りた畑にシャルドネが植えてあったので、ワインを造るようになった。 |
栽培 | <収穫>上のランクを手摘みで、ベーシックなワインは傾斜30度までは機械で収穫。 収穫前の9月末に葡萄を取り、房ごと大手に売る。残った葡萄の糖度が上がる。 |
<情報リンク>
「ほとんどの作業を一人でこなす」 雑誌やガイドブックに名前の出てこない無名な生産者ですが、その「いかに効率良く、いかに合理的に、いかに高品質のワインを造るか」という視点からもたらされる探究力、実践力には、著名なワイングートに無い、温暖化や人材不足、人件費の高騰など条件の厳しくなるこれからの時代に適応した生産者の新しい方向性を感じることが出来ます。
「マロラクティック発酵など、様々な試み」 より効率的で高品質な畑作業や収穫、ワイン造りのための機械の導入、まだ研究開発されて7~8年の最新技術「アグロバイオ レギュレーター」(葡萄の腐敗を防ぐための植物ホルモン)の使用、ドイツの白ワインでは一般的でないマロラクティック発酵、「モーゼル=リースリング」と言った観念にとらわれない色々な葡萄品種の導入など、他のモーゼルの生産者からは聞くことのない試みを行い、成果を上げています。それらは、奇をてらうためのものではなく、いかに皆に買ってもらえる、高品質でしかも手頃なワインを造るかという発想から生まれたものです。しかし、訪問した際の気軽さや明るさを感じさせる人柄は、そんな知識や技術の論議のひとかけらも感じさせません。
<ヴェレナー ゾンネンウーアを所有>2015年ワイナリー訪問時
トーマス バルテンは全くの無名生産者ながら、銘醸畑ヴェレナー ゾンネンウーア(日時計)を0.4ha所有しています。他の生産者にはまねできないコストパフォーマンスを実現しています。写真の左端に見えるのが日時計です。ヴェレナー ゾンネンウーアの畑の特徴は、細かく砕けたシーファーに少し粘土が混じっている事です。