生産者情報

ヴァイングート カール エルベスWeingut Karl Erbes

弊社のドイツワインを語る上で欠かすことの出来ない生産者

親子で発展させた高品質なワイン造り

 

ヴァイングート カール エルベス
ヴァイングート カール エルベス
ヴァイングート カール エルベス
ヴァイングート カール エルベス
ヴァイングート カール エルベス
ヴァイングート カール エルベス
ヴァイングート カール エルベス

生産者情報

ドイツ
地域 モーゼル
歴史

何世紀にもわたり、ユルツィヒに住む古い家系

1967年 カール エルベスが、0.1haの畑で設立

1984年 息子のシュテファンが参加

2002年 カールが引退し、シュテファンが引き継ぐ

オーナー

シュフテファン エルベス : 1970年生まれ。2代目。

 

カール エルベス : 1代目。シュテファンの父。30年余り有名なクリストフェル ベレス家のケラーマイスターをしていた。

葡萄園

5.9ha  ユルツィガー ヴュルツガルテン、エルデナー トレプヒェン(0.3ha)、エルデナー プレラート。

<畑の違い>

ユルツィガー ヴュルツガルテン・・・赤色粘板岩。赤色の粘板岩はユルツィヒ村のあたりにしかない(参照)。ミネラル分が多いので、アロマティックで桃のようなアロマが出る。

エルデナー トレプヒェン・・・青色粘板岩。特に南向きの青色粘板岩の場合は、より満たされた充実感のある味わいとなるため辛口に向く。

接木をしていないリースリングが100%。70~80年樹齢を最高に、多くがアルテ レーベン(古木)。QbA以外はアルテ レーベンの葡萄を使用。

 

<断崖絶壁に広がるユルツィガー ヴュルツガルテンの畑>

栽培

肥料は土壌の検査に基づき、毎年違った成分を補充。石灰、葡萄の搾りカス、木の皮、家畜の糞など、有機肥料を使用。

<情報リンク>

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ユルツィガー ヴュルツガルテンを代表する生産者

父と息子で築いたヴァイングートの発展

 

ヴァイングート カール エルベスは、1967年にカールによって設立された小規模なヴァイングートです。エルベス家は代々ユルツィヒ村に住む家系で、現在、カールの息子で2代目のシュテファンによって運営されています。弊社が初めてカール エルベスを訪問したのは1985年です。当時カールとアリス夫妻でワイン造りを行っており、息子のシュテファンが加わったばかりの頃でした。そして、品質の高さと魅力的な価格に驚き、1984VTから取り扱いをスタートしました。当時から彼らのワインは素晴らしい品質で、すぐに日本市場でも受け入れられ、約40年という長い年月が経った現在でも、弊社のドイツワインを語る上で欠かせない存在であり続けています。

 

ワイナリーを創設したカールは、凄腕のワインメーカーとして名を馳せた人物で、1960年代から1970年代の間に、同時に7つのVDP生産者のワインメーカーをしていました。また、他のベルンカステラーリングのメンバーを含む生産者も担当しており、有名なクリストフェル ベレスでも、1997年までの30年間ほどをワインメーカーとして務めるなど、その手腕は高く評価されました。カールは、2002年に息子のシュテファンにヴァイングートの運営を任せ、一線を退きます。このように、ワイナリーの礎を築き、ワインメーカーとしても活躍したカールですが、2022年5月31日に惜しまれながらこの世を去りました。カールはシュテファンに引き継いだ後も、弊社が現地訪問するたびに必ず顔をだし、私たちを歓迎してくれました。時にはテーブルを囲み一緒に食事や談笑をすることもあり、久々に家族の元へ帰ってきたような気持にさせてくれる存在でした。

 

カールが引退して20年が経ちますが、ワイナリーを引き継いだシュテファンは、偉大なる父の造り上げたワインの品質をさらに向上させ続けており、その見事なワインの出来栄えは、まさに「リースリングの芸術品」だと確信させられるほどです。近年、ワインガイドでの評価も軒並み高く、『ヴィヌム2024』で4星、『アイヒェルマン2024』で4星を獲得。『ワイン アドヴォケイト』では、「ユルツィガー ヴュルツガルテン リースリング ベーレンアウスレーゼ 2019」が99点(飲み頃評価はなんと2025~2120年!)、「ユルツィガー ヴュルツガルテン アウスレーゼ★★★ ゴールドカプセル 2019」が98点(こちらは2030~2100年!)の評価です。2012年のラインラントファルツ州品評会で「特別栄誉賞」を受賞し、2年に1度開催される「プロリースリング」で、2011、2013年と2年連続して「醸造者賞」を受賞するなど、ユルツィガー ヴュルツガルテンを代表する生産者として広く知られています。偉大な父、カールの背を追うばかりか、ついに父を超えるほどの評価を得るようになったシュテファンは、スタンダードからトップクラスまで、見事なワインを生産し続けています。

 

 

 

ユルツィヒ村の銘醸畑「ヴュルツガルテン」

個性的な赤色粘板岩から生み出される、アロマティックで桃を思わせる個性的なリースリング

 

ヴュルツガルテンは「薬草/スパイスの庭」という意味で、ユルツィヒ村に特徴的な赤色粘板岩により、葡萄にスパイシーさや個性的な風味を与えると言われています。およそ3億年前に東部にあるヴィットリッヒ村周辺で火山が噴火し、鉄分を多く含む赤色の火山礫(ロートリンゲン)がユルツィヒ村にもたらされることになりました。火山礫は雨で流されていきましたが、鉄分を含むミネラル成分がもともとの粘板岩(青・灰色)に移り、赤色粘板岩が生まれました。ラインヘッセンのニアシュタイン村やナーエのトライゼン村、モーゼルではユルツィヒとエルデン村のトレップヒェンとプレラートにしかほとんど見ることが出来ない特殊な岩石です。ユルツィガー ヴュルツガルテンからエルデナー トレップヒェンに向かって行くにつれて赤色が薄くなり、隣のレスニッヒャー フェルスターライになると全て青色の粘板岩になります。カール エルベスでは、この特徴的な赤色粘板岩に育つリースリングの個性を最大限に反映したワイン造りを行っており、その風味の特徴はクヴァリテーツヴァインからアウスレーゼ、アイスヴァイン等の上級品にまでしっかりと表現されています。

 

 

 

エルベス家の献身的なまでのワイン造りへの情熱

 

この断崖絶壁のような畑は、勾配は約70%(傾斜角約35度)と非常に急で、機械が入ることも出来ません。畑仕事が非常に困難なため、引退してしまう人もいるそうです。スレート土壌で足場が悪いため、支柱に掴まり、ビュッテと呼ばれる収穫用の桶を背負いながら、横に移動し葡萄を摘み取る作業は大変な重労働だと想像できます。カール エルベスのワインを輸入し始めて約40年が経ちますが、ヴュルツガルテンの畑を訪れる度に、「労働に対して世界一安いワインだ」と思わずにはいられません。その献身的なまでのワイン造りへの情熱は、等級にかかわらずどのワインにも平等に感じることが出来ます。こうした、取引開始から約40年経っても、日本の皆様に受け入れられている理由のひとつです。 

 

 

ヴァイングート カール エルベス

<世界一厳しい収穫作業>

この写真からも、とても厳しい収穫作業であることがわかります。背負うバケツ(ビュッテ)の重さは、葡萄を積み込むとなんと70kgにもなります。縦に移動して収穫するときは、ロープを体に巻いて崖から落ちないようにしますが、地面は土や葉がつもり、滑りやすくとても危険であることが分かります。

ヴァイングート カール エルベス

<昔の写真>2017年訪問時

ワイングートの入り口にはカール(父)とシュテファン(息子)のエルベス親子と弊社社長が、モーゼルの急斜面の畑で並んだ写真を飾っていただいています。カール エルベスは、1984年に初訪問して以来、弊社と30年以上の取引のある生産者です。

ヴァイングート カール エルベス

<赤色粘板岩がユルツィガーの特徴>

モーゼル中でもユルツィヒ村に特徴的なのが、赤色粘板岩です(参照)。葡萄にスパイシーさが加わり、また、ミネラル分が多いので、アロマティックで桃のようなアロマが出ます。

ユルツィヒ村の辺りの土壌は4億年前にできた土壌と言われております。3億年前に東部にあるヴィットリッヒ村周辺で火山が噴火し、火山土壌の大地が移動し、それがユルツィヒの中に入り込みました。その火山土壌は鉄分を多く含んでいるため赤色でした。その後、数百年かけて火山礫(ロートリンゲンと呼ばれる)は元々あった粘板岩に溶け込でいきました。火山礫は雨で流されていきましたが、粘板岩に火山性の鉄分を含むミネラル成分が移りました。そのため、エルデナー プレラートのミネラルは他の粘板岩とは違った個性を葡萄に与えます。ラインヘッセンのニアシュタイン村やナーエのトライゼン村にも同じような土壌が見られますが、モーゼルではユルツィヒとエルデナー プレラート、トレップヒェンにしか見ることが出来ません。ユルツィガー ヴュルツガルテンからエルデナー トレプヒェンに向かって行くにつれて赤色が薄くなり、隣のレスニッヒャー フェルスターライになると全て青色の粘板岩になります。