娘のクレールがワイン造りに参加し、さらに洗練されたモダンなスタイルに。
南ローヌらしい力強さとエレガンスを持つこだわりのワイン。
国 | フランス |
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地域 | コート デュ ローヌ |
歴史 | 1936年 ルネ ドヴィネが設立。 1996年 娘婿にあたるベルナール ビュルルが手伝いを始める。 2002年 ベルナールが相続。瓶詰設備などを導入。 2008年 セラーが完成 2015年 新セラーが完成。今まで800hlしか醸造できず、残りはほかで醸造していたが、1700hlを醸造できるようになった。 |
オーナー | ベルナール ビュルル : 1963年生。故エドモン ビュルルの長男。 クレール : ベルナールの娘。1993年生まれ。モンペリエ醸造大学で勉強。オーストラリアのワイナリーで研修。非常に聡明で快活、将来に期待が持てます。 |
葡萄園 | ヴァケラス18ha / コート デュ ヴァントゥー8ha / コート デュ ローヌ2ha / プラン ド デュー1ha / ジゴンダス1.25ha / V.d.P.5ha |
栽培 | 除草剤は使わない。ボルドー液や硫黄を使用。 草やカスなどを混ぜたコンポストを使用。 |
<情報リンク>
今まさに変化している、ヴァケラスの新世代のドメーヌ
ドメーヌ フォン サラドは、ヴァケラスの北のポンシュの高台に位置する家族経営のワイナリーです。オーナーのベルナール ビュルルは、弊社のローヌワインの原点と言える造り手、エドモン ビュルルの長男です。ベルナールは実家のあるジゴンダスを出て、隣村のヴァケラスにあるフォン サラドを2002年に義父から引き継ぎました。その後の2004年にエドモンが他界し、実家のワイナリーであるドメーヌ ビュルルが残されましたが、弟たちが後を継いでいます。ワイナリーはとても近いため、ベルナールが弟たちにアドバイスをすることもあります。
2015年には、ベルナールの娘であるクレールがドメーヌに参加し、近年のワイン造りに大きな影響を与えています。クレールが参加してからのワインは、南ローヌらしい力強さを持ちながらも、洗練されたモダンなスタイルに仕上げられており、エレガンスを感じさせます。クレールは1993年生まれで、モンペリエ醸造大学を卒業後、オーストラリアのワイナリーで研修しました。若いですが非常にしっかりとしており、私たちが訪問した際には、おしゃべり好きな父とその兄弟たちが大騒ぎするのを一喝する場面もあるほどです。聡明で快活な彼女の働きが、フォン サラドのワインをさらに磨きがかかったものにしており、今後も非常に楽しみな造り手と言えます。
また、クレールが参加した2015年に、ベルナールが娘のためにと新しいセラーを完成させました。セラーには200hlのコンクリートタンクが16個、120hlのステンレスタンクが10個あります。以前までは800hlしか醸造できなかったため、全てのワインを自社で生産できず、他の生産者へ販売することもありました。現在は2倍以上の1700hlを醸造できるようになっています。タンクの内部は合成樹脂でコーティングされています。タンクの温度管理は手動から自動になったため、とても機能的になりました。セラー内はとても清潔に保たれていて、「シルクのような滑らかな肉付きのあるワイン造りを目指している」という言葉通りのワインが出来るのも納得です。 また、醸造設備等はモダンになっても、伝統的な造り方を忠実に守っています。品質にはこだわりを持っていて、納得出来ない品質の葡萄は売ってしまいますし、A.C.として納得できないものはV.d.P.に回しています。
ヴァケラスとジゴンダス――2つのクリュの違いについて
フォン サラドはヴァケラスとジゴンダスの2つのクリュからそれぞれワインを手掛けています。ジゴンダスは赤ワインとロゼワインしか生産できませんが、ヴァケラスは赤とロゼに加え白ワインも生産できます。どちらも赤ワインの主要品種はグルナッシュで、南ローヌらしい力強いワインではありますが、ヴァケラスの方がエレガントで、ジゴンダスの方がパワフルに仕上がることが多いようです。
「ヴァケラスはシラーを、ジゴンダスはムールヴェードルを多くブレンドしています。ヴァケラスは標高が68~254mとそれほど高くありませんが、様々な要素のバランスが良いワインです。ジゴンダスは標高が87~698mと高く、土壌は粘土が多くなります。ワインのスタイルはより丸みがあって重く、アルコールのボリュームも感じられます」
「プライドを持ち、品質にこだわる」 「甘みがあって、リッチなスタイルをしかもお値打ちな価格で」がポリシーです。ヴァケラスやジゴンダス、ヴァントゥーで10本の指に入ると自負しています。ヴァケラスのレストランでは、サン デ カイユー等と変わらない価格でオンリストされていました。また、ベルナールはアペラシオン ヴァケラスの審査員もしています。ベルナールは、ワイン造りのアドバイスをするために次男と三男(E.A.R.L. ビュルル)を訪れます。
<エドモン ビュルル>2001年訪問時
長男のベルナール(フォン サラド)、次男のフローラン、三男のダミアン(2人はビュルル)のビュルル三兄弟の父であるエドモン ビュルルは2004年に亡くなりました。私どもと関わりのある生産者で、エドモン ビュルルほど苦難の人生を歩んでいた人を見たことがありません。一度は屋根から落ちて脊椎をひどく損傷したり、妻と息子(ベルナール)が家を出てしまったり、1993年には網膜剥離の手術を受けることになったり。また、91年は霜害、92年は洪水による被害のため、2年間ワインを造ることができませんでした。しかし、私どもがワイナリーを訪問すると、いつも誰よりも陽気に迎えてくれます。ミシェル ファロ(ドメーヌ デュ ケロン)やイヴ グラ(ドメーヌ サンタ デュック)と並んでジゴンダスのトップ生産者として、国内だけでなく世界中にその名が知られています。私どものローヌワインに対する情熱は、エドモン ビュルルに出会って始まりました。
<クレール & ベルナール>
2015年にワイナリーに参加したクレールと、父ベルナール。彼女が参加したことにより、ワインは南ローヌらしい豊かな果実味を残しながらも、さらに洗練されたエレガントなスタイルへと進化しています。
娘にも触らせないほどのお気に入り!?
「プラン ド デュー キュヴェ エゴイスト」の葡萄畑
ベルナールが学生の頃から好きで好きでたまらず、今もクレールにさえ手伝わせないという、まさに「エゴイスト」な畑があります。父エドモンが、いとこの所有していた土地(当時は畑ではなく森でした)を借り受け、いとこが亡くなった後に貰い受けました。1971年、当時はまだ学生だったベルナールが、父とともに植樹し、初めて管理を任された思い出の畑です。当初はアペラシオンもない手付かずの土地でしたが、既にそのポテンシャルを見抜いていたという、偉大な父エドモンの先見の明が良く分ります。また、父から相続したベルナールも、シラーだけが植えられていた畑に、もしもAOCに認定されたらグルナッシュやムールヴェードルが必要になると見越して、それらの品種を植えました。父に似て先見の明のあったベルナールを象徴するエピソードといえます。この畑は現在、AOC コート デュ ローヌ ヴィラージュのひとつ、プラン ド デューに認定されています。
ビュルル家のワインを合わせるなら「サラミ」! ぜひお試しください
フォン サラドとドメーヌ ビュルル、2つのビュルル家のワイナリーはヴァケラス村とジゴンダス村で隣同士ということもあり、訪問すると2軒のドメーヌのワインを一緒に試飲することになります。ワインの品質をシビアに確認するのですが、彼らも分かっているのか、テイスティングの際に必ず用意してくれるのが「ソシソン(サラミ)」です。ビュルル家のワインとの相性は抜群で、美味しすぎてついワインが進んでしまうほど……。これぞまさにマリアージュ! サラミの他、テリーヌや肉料理との相性ももちろんおすすめです。