『ベタンヌ+ドゥソーヴ2020』で4ッ星生産者として掲載
世代を超えて受け継がれるトップ クオリティのサンセール
国 | フランス |
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地域 | ロワール |
歴史 | 1780年よりワイン造り 20世代続く家族経営ワイナリー |
オーナー | フローラン ピナール : 1981年生。2001年から参加。主にセラー担当。 クレマン ピナール : 1984年生。2007年から参加。世界各国で修業。主に畑担当。 ヴァンサン : 父。現在も携わっているが、一線は退いている |
葡萄園 | 17ha ソーヴィニヨン ブラン12.5ha、ピノ ノワール4.5ha 全40区画(グラン シュマラン、シェーヌ マルシャン等) 所有する畑は、そのほとんどが、石灰岩および粘土石灰質の土壌を持つビュエ村にあります。 |
栽培 | オーガニックな肥料を使用。農薬(除草剤、殺虫剤、防カビ剤)は一切使用しません。 畑作業の多くは、手作業で行っています。品質を高めるため、剪定を短くし、グリーンハーベストを行い、収量を低く抑えるようにしています。 |
<情報リンク>
フローランとクレマンが醸す最高品質のサンセール
ヴァンサン ピナールは、1780年からワイン造りを行なってきた家族経営の生産者です。ピナール(Pinard)は、フランス語のスラングで「安酒/安もののワイン」を意味しますが、ドメーヌ名はあくまでもピナール家の家名に由来したものです。ヴァンサン ピナールの造り出すワインは、そんな意味合いとはほど遠く、常にサンセールにおけるトップ クオリティとして、国内外の数々のワインガイドで紹介されています。特にフランス国内での評価は非常に高く、『ベタンヌ+ドゥソーヴ 2020』では4/5星生産者として掲載されています。また、『ル ギド デ メイユール ヴァン ド フランス 2021』では2/3星の評価を獲得しています。また、「フランス・ロアンヌのミシュラン3ッ星レストラン『トロワグロ』でもオンリストされている」と話してくれました。
弊社が彼らのワインを輸入し始めたのは1995年のことで、当時はヴァンサンが笑顔で出迎えてくれました。25年が経った今ではヴァンサンは一線を退き、彼の2人の息子たち、フローラン(ジャン ルイ トラペで修業)とクレマン(ドメーヌ ド トレヴァロンやニュージーランドで修業)がワイナリーを運営しています。ピナール兄弟が醸すワインは、父の時代よりもさらに洗練された仕上がりとなっています。
「名門ピナール家の仕事は、自然派ヴィニュロンの手本だ。」
――『奇跡の自然ワインを! ヴァン・ナチュールの名作300本』より
ヴァンサン ピナールの哲学のひとつが有機栽培です。認証は取得していませんが、オーガニックな肥料を使用し、除草剤、殺虫剤、防カビ剤などの農薬は一切使用しません。有機栽培を行うことで、畑の微生物を活性化させ、昆虫や野鳥などを含んだ周囲の自然環境を尊重し、受け継がれてきた葡萄畑のテロワールを表現しています。畑仕事のほとんどは手作業です。葡萄の品質を高めるため、短く剪定し、さらにグリーンハーベストを行うことで収量を低く抑えています。畑で選別しながら手作業で収穫し、セラーに運んでからも振動式の選果テーブルでもう一度選別しています。出来るだけ自然に醸造するためには、葡萄が健全でなければならないと考えているため選別を重視しています。効率第一の農業ではなく、畑仕事に時間を費やし、自然な栽培・醸造に挑み続ける300軒の生産者をピックアップした『奇跡の自然ワインを! ヴァン・ナチュールの名作300本』(シルヴィ オシュロ、アントワーヌ ジェルベル著)にも「自然派ヴィニュロンの手本」として紹介されています。
サンセールの魅力を余すところなく表現するラインナップ
ヴァンサン ピナールのドメーヌが位置するビュエ村は、人口360人ほどの小さな村ですが、その内の35人はワインメーカーというほど、ワイン産業と密接にかかわる村として知られています。ヴァンサン ピナールはサンセールのみを生産しており、所有する葡萄畑は約40区画、17haに及びます。ラインナップはおおまかに以下の3つに分けることが出来ます。
■4つの特別なクリュの個性を表現した単一畑シリーズ(取り扱い無し)
ビュエ村の特に優れたクリュとして知られている畑からのセレクションワイン。所有する40区画のうち、シェーヌ マルシャン、グラン シュマラン、プティ シュマラン、ル シャトーの4つの特別なクリュから、それぞれの名前を冠したサンセール ブランをリリースしています。特にシェーヌ マルシャンはサンセールにおけるトップ クリュのひとつとしても知られており、『デカンター』の「Sancerre to drink in 2020」の記事で紹介されたサンセールの中で、ヴァンサン ピナールのシェーヌ マルシャン 2018(取り扱い無し)が96点でトップを飾りました。また、『ヴィノス2014.9』では、2012年ヴィンテージが「ドメーヌ ド シュヴァリエを彷彿とさせる塩気のある余韻が続く」と評され、91点を与えられています。シェーヌ マルシャンの葡萄は、もともとは「サンセール ブラン アルモニ」に全てブレンドしていましたが、個性のある葡萄が収穫できるため、2007年ヴィンテージから単独でのリリースを始めています。
■4つの特別なクリュのうち、2つずつをブレンドして調和させたシリーズ
ビュエ村の特に優れた4つのクリュを、それぞれ2つずつ組み合わせてリリースするワインです。シェーヌ マルシャンとグラン シュマランの葡萄を使用した「アルモニ」と、プティ シュマランとル シャトーの葡萄を使用した「ニュアンス」の2つのサンセール ブランをリリースしています。それぞれのクリュの個性が調和した、素晴らしいバランスが特徴です。シングル ヴィンヤード シリーズよりも価格は控えめでありながら、優れたテロワールによる個性の違いが楽しめます。『ル ギド デ メイユール ヴァン ド フランス2021』では、「サンセール ブラン アルモニ 2018」が92点を獲得しています。
■家族にちなんだ名前を付けたシリーズ
ピナール家の家族の名前にちなんだワインです。ヴァンサンの二人の息子たち、フローランとクレマンにちなんだサンセール ブランとして「フロレス」と「クレメンス」を、また、ヴァンサンの父でありフローランとクレマンの祖父たち、シャルルとルイーズにちなんで「シャルルイーズ」をサンセール ルージュの上級品としてリリースしています。
サンセールを特徴づけるテロワール
サンセールは、大昔は海底であり、その隆起した部分がなだらかな丘陵地を形成したといわれています。そのため、葡萄畑には化石が混ざる石灰岩(白亜)が見受けられ、葡萄樹はその堆積物を避けながら根を地中深く伸ばします。ヴァンサン ピナールのドメーヌがあるビュエ村は、「カイヨット」と呼ばれる小石の多い石灰岩が特徴的な石灰質土壌です。カイヨットは、ワインに素晴らしいフィネスやピュアな風味、綿密さを与えるといいます。所有する葡萄樹の多くは1960年代に植えたもので、樹齢40年を超える古木から出来る彼らのワインは持続性があり、豊かなミネラルが感じられます。「このテロワールが、ワインにミネラルを与えている」と彼らは語ってくれました。
一方、ピノ ノワールの特徴としては、ブルゴーニュよりもスモーキーなフレーバーが表現されています。サンセールは、フィロキセラ禍以前までは赤ワインの産地として知られていました。ヴァンサン ピナールも、父の時代からずっとピノ ノワールの優れた生産者として高い評価を獲得し続けています。『レ メイユール ギド デ ヴァン ド フランス 2021』での評価は、「サンセール ルージュ シャルルイーズ 2017」が93点、「サンセール ルージュ ピノ ノワール 2018」が92点となっており、その確かな品質が評価されています。
「作業はほとんど手作業」 畑作業の多くは、手作業で行っています。品質を高めるため、剪定を短くし、グリーンハーベストを行い、収量を低く抑えるようにしています。収穫は、畑で選別しながら手摘みで行い、セラーに運んでから、振動式の選果テーブルで健全で熟した葡萄だけを再度選別します。醸造段階においてもできるだけ自然に、人の手が介入しないようにしています。それを実現するためには、葡萄の選別が非常に大切です。葡萄が健全であれば、醸造の段階で人工的なものを加える必要がないからです。造るキュヴェによって、ステンレスタンク、木製発酵槽、228Lのバリック、600Lのドゥミ ミュイを使い分けています。
「白ワインの特徴」 ソーヴィニヨン ブランは、石灰岩質土壌に植えています。ビュエ村の土壌は、「カイヨット」と呼ばれ、小石の多い石灰岩質で、主にチョーク(白亜)で構成されています。このカイヨット土壌はワインに素晴らしいフィネス、ピュアさ、綿密さを与えます。葡萄樹の多くは1960年代に植えたものです。樹齢40年を超える葡萄から出来るワインは持続性があり、豊かなミネラルが感じられます。
「赤ワインの特徴」 ピノ ノワールは、粘土石灰質土壌(下層土は石灰岩)に植えています。このテロワールはワインに深みと複雑さを与えます。畝の間には草をはやしています。収穫量は、厳しく制限し、収穫した葡萄は注意深く選別します。ピノ ノワールの平均収穫量は、32hl/ha、葡萄の樹齢は平均で40年です。新鮮な果実味にあふれた力強く、洗練された味わいのワインになります。
<評価>
サンセールのトップ生産者として、ヒュー ジョンソンの「ポケット ワインブック2019」、「レ メイユール ヴァン ド フランス2019」など、様々なガイドで高い評価を得ています。
「紛れもない赤ワインの専門家であるヴァンサン・ピナールは、息子のフローランとクレマンの二人と力を合わせて彼らの白のスタイルにしっかりと磨きをかけた。(中略)白い花がいっぱいの「フローレス」は、若々しくて非常に繊細なソーヴィニヨンとなっている。白い果実を感じる「キュヴェ・ニュアンス」はアロマの後ろ盾によって引き付けるものがある。「ハーモニー」は豊かさと新鮮さの程よいバランスを見出している。」
ベタンヌ&ドゥソーヴ「フランスワイン格付け」
<ヴァンサン ピナール>2000年ワイナリー訪問時
<化石も掘り起こされる場所。ミネラル分に富んだ土壌>2014年ワイナリー訪問時
サンセールは、大昔は海底であり、その隆起した部分がなだらかな丘陵地を形成しました。化石が混ざる白亜土壌であり、葡萄の樹々はその堆積物を除けながら根を深く張る為、樹勢が強いです。「ワインによりミネラルを与えている」と彼らは語ってくれました。その為彼らの、ソーヴィニヨンブランには、豊富なミネラルを感じられます。一方、ピノノワールの特徴として、ブルゴーニュよりもスモーキーなフレーバー。個性を尊重するため、ソフトなマセラシオンを施します。その為、彼らのピノはよりエレガントなスタイルです。