世代を超えて続く葡萄栽培農家との結束が生む
高品質ながら、魅力的な価格の “アマローネ & ヴァルポリチェッラ”
国 | イタリア |
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地域 | ヴェネト |
歴史 | 1909年 アンジェロ リゲッティが創立。 1947年 ルイジ リゲッティが引き継ぐ。 1985年 ルイジの息子ジャンマリアが引き継ぐ。 |
オーナー | ジャンマリア リゲッティ(4代目) |
葡萄園 | 160ha 自家畑 5ha + レンタル畑 5ha + 契約農家60軒。 契約農家も家族経営で、畑の管理から収穫まで世代をこえて伝授している。 |
<情報リンク>
ルイジ リゲッティはヴェネト州のヴェローナの近郊、ヴァルポリチェッラ クラッシコのエリアのヴァルガタラ ディ マラーノ ディ ヴァルポリチェッラに位置する家族経営のワイナリーです。1909年にアンジェロ リゲッティが設立しました。およそ110年の歴史がありますが、当初から品質を第一に重視したワイン造りに力を入れてきました。3代目のルイジの代には、アマローネの生産を始めました。当時、ラベルは手書きで、ワインは地元のレストランなどに売り、少しずつアマローネの知名度を上げていきました。1985年より、4代目のジャンマリア リゲッティがワイナリーを引き継ぎ、兄のジュゼッペと共に現在もワイン造りを行っています。現在は小さな家族経営の生産者ながら年間約250万本のワインを生産し、95%を輸出するワイナリーにまで成長しています。
弊社がルイジ リゲッティへ初めて訪問したのは1997年でした。その年ヴィニタリーでヴァルポリチェッラ生産者組合のブースへ行き、20種類以上の様々な生産者のワインを試しましたが、納得のいくワインのほとんどが、法外とも言える高い価格でした。ほぼ諦めかけた気持ちで、ヴィニタリーに出展していないリゲッティ家を訪問したところ、その品質と価格に驚きを隠せず、翌年には彼らのワインの取り扱いを始めました。この価格に対する品質の素晴らしさは27年経った現在も変わらず、弊社の重要なイタリアワイン生産者のひとりとして知る人ぞ知る存在となっています。
ヴァルポリチェッラ クラッシコの5つの村全てに契約農家を持つ
安定した高品質を生み出す秘訣
ルイジ リゲッティは自家畑の他に、約60軒の契約農家の畑があり、合計160haの畑からワイン造りを行っています。契約農家のほとんどが長期契約で、中には50年以上の付き合いの農家もいます。ジャンマリアは彼らと常に情報交換をしながら、一緒に仕事をしています。収穫ひとつとっても大変手間がかかりますが、農家は収穫と同様にジャンマリアの指示のもとで年間の畑作業(掘り返しや選定等)を行います。農夫達は小さな畑でもよく知り尽くした自分の畑のため、彼らの仕事は完璧だそうです。収穫の前にはジャンマリアが畑を見て回り、いつ収穫すべきかを見極め、毎年安定した品質を保つように心掛けています。「畑を見て回るのは大変ですが、良いワインを造るには良い葡萄が無ければなりません。安定して高い品質のワインを造ることがルイジ リゲッティの哲学なのです」とジャンマリアは語ります。約60軒の契約農家との間に「結束と信頼」を長期に渡り構築したのは父ルイジで、その精神はジャンマリアにも引き継がれています。
アパッシメント(陰干し)の工程を経て生み出される、生産者の努力が反映された “特別なワイン”
”アパッシメント(陰干し)”はこのエリアで生まれた製法です。アパッシメントをするための葡萄は、ひとつの傷もない、きれいな葡萄を選別する必要があります。乾燥させている間は温度、湿度をコントロールし、カビなどが発生しないように、常に葡萄の状態を見守り、気を配らなければなりません。手摘みで収穫した葡萄は、「フルッタイオ」と呼ばれる乾燥室へと運びます。木製またはプラスティック製の箱に入れられた葡萄は、可能な限り自然に乾燥させます。アマローネに使う葡萄のアパッシメントは120日ほど行います。乾燥することによって葡萄の水分の50%が失われ、糖度が集約されます。通常のワインの場合、1kgの葡萄から約1本分のワインが出来ますが、アマローネの場合は、1kgの葡萄から0.5本しか造ることが出来ません。アパッシメントが終わる時期、1月もしくは2月に葡萄をプレスして発酵の過程に移ります。アマローネの発酵は葡萄の果皮についている野生酵母のみで行います。この時期、外の気温は3~4度と非常に低くなります。発酵はゆっくりと進み、約20日間かかります。「通常、ワイン生産者は9月の収穫から始まり、10月にプレスして、仕事がひと段落すること多いですが、アマローネの生産者は翌年1月まで葡萄を乾燥させ、2月にプレスするまで6ヶ月間仕事が続きます。他の生産者より3倍は忙しいです。2010VTよりアマローネはDOCGになり、それまでよりも規制が厳しくなりました。州政府検査官の訪問チェックは三度にわたって行われます。主に『収穫前の畑のチェック』『収穫量、及びアパッシメントの始まりと終わりの重さのチェック』『ボトリング前の官能検査』が行われ、これら全てをクリアしてやっとボトルネックにD.O.C.G.のシールを貼ることができるのです」とジャンマリアは話します。
「私は、『ワインは食と共にある』と考えています。しかしながら、アマローネはアルコール度数が高いものもあり、それらは食事と合わせるのは難しいです。ですから、ボトルを開けたら、グラス1杯で終わらず、飲み続けられるアマローネを目指しています。葡萄を陰干しした後にそれぞれのクレートから葡萄のサンプルを採取して糖度を測定し、アルコール度数が15%程になるように逆算して醸造をします。1つのエリアだけの葡萄ではこうした方法は難しいですが、私たちはヴァルポリチェッラ クラッシコの5つの村すべてに契約農家がおり、北から南まで畑が点在しています。このように気候や標高が様々なエリアの葡萄をブレンドすることでワインのバランスを保てるのです」とジャンマリアは語ります。
<見本市に出展しなくても、ワインが売れる人気の生産者>
左写真:1998年訪問時に撮影
1997年にヴィニタリィ(イタリア最大のワイン見本市)のヴァルポリチェッラ生産者組合のブースへ行き、20種類以上のいろいろな生産者のワインを試しましたが、良いと思ったワインのほとんどが、法外とも言える高い価格でした。私どもは、ほぼあきらめかけた気持ちで、ヴィニタリィに出展していない、このルイジ リゲッティを訪問いたしました。その結果は…、これらのワインを私どもがご紹介させていただくことでお分かりいただけるでしょう。
「私たちは農夫です。常にワインと共に人生を歩んできました」
右写真:2018年訪問時に撮影
「私と兄ジュゼッペは小さいころからワインセラーのすぐ隣で育ち、ずっとワイン造りと共に人生を歩んできました。ワインは生き物なので傍を離れることはできません。例えばレストランでも、シェフは美味しい料理を造るために、手間暇を惜しまず愛情を注いでいるでしょう。私たち兄弟も、葡萄の状態から出荷されるまで、ずっとワインを見守っています。私の手を見てください。赤色になった農夫の手であることがわかるでしょう私たちは文字通り常にワインと共にいるのです」ジャンマリア リゲッティ