ガンベロ ロッソで2万本の中から、たった1本の『最高の白ワイン』に選出
徹底的なまでの品質管理が生む、イタリア最高峰のワイン
国 | イタリア |
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地域 | トレンティーノ アルト アディジェ |
歴史 | 1932年 カンティーナ ナルスが34軒のメンバーで設立。 1954年 カンティーナ マルグライド エンティクラールを設立。 1985年 2つのカンティーナが併合し、ナルス マルグライドが設立。 |
オーナー |
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葡萄園 | 約160haの畑(約140軒の契約農家で構成) 契約農家は、一軒当たりの0.5ha~5haと所有する畑が小さい。
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栽培 | 化学的なものは一切使用せず、ほとんどの農家はビオロジック栽培。ビオディナミに転換しようと思えば可能。しかし、申請のため複雑で多大な労力がかかること、温暖化による天候不順への緊急な対応の余地を残しておきたいということ、ワインの品質が重要で「認証」によるマーケティングの方針は持たないこと、などの理由から認証の取得はしていない。 |
<情報リンク>
「シルミアン ピノ ビアンコ」 ― イタリア最高峰の白ワイン
ナルス マルグライドは、イタリアのトレンティーノ アルト アディジェで高品質ワインを手掛ける生産者組合です。1932年設立の「カンティーナ ナッレス」と、1954年設立の「マグレーニ クラーラ」が、1985年に合併したことで誕生しました。約130軒もの栽培農家が所属しており、約170haの畑から、素晴らしいワインを生産しています。イタリアの著名なワインガイド、『ガンベロ ロッソ』の2014年版では、この年に試飲した2万本以上ものワインの中から、たった1本しか選ばれない「最高の白ワイン(Vino Bianco dell'Anno)」に、ナルス マルグライドの「シルミアン ピノ ビアンコ 2012」が選ばれました。同誌では、「今年最高の白ワインはナルス・マルグライドのアルト・アディジェ・ピノ・ビアンコ・シルミアンに与えられたが、これは抜きん出て優美な白ワインである」と絶賛されています。また、このシルミアンは2006VTから2019VTまで、14年連続で最高評価の3グラス(トレ ビッキエリ)を獲得しています。さらに、2021VTでも「ガンベロ ロッソ 2024」3グラスを獲得するなど、素晴らしい評価を得ています。
徹底的なまでの「栽培指導」と「個人生産者には出来ない醸造」が品質のカギ
ナルス マルグライドは、葡萄栽培について妥協を許しません。誰でも加入できる組合ではなく、「兼業ではなく、葡萄栽培を専門として生計を立てている人」でなければ参加できません。加えて、組合に参加する栽培農家は、他の会社に葡萄を納入することは出来ず、ナルス マルグライドのためだけに栽培しなければなりません。栽培農家は年間を通じ、毎週開催される勉強会で指導を受けます。指示は詳細で、例えば冬の剪定の際には、はさみを入れる角度にまで決まりがあります。また、畑の専門家が実際に訪問し、作業が正しく行われているかチェックします。毎日の作業記録の作成の義務を負い、作業に間違いがあった場合、ペナルティを負います。こうして徹底的なまでの栽培指導を経て収穫した葡萄はすでに素晴らしい状態ですが、さらにそれぞれのワインに対してベストなエリアの葡萄を選び抜いた上、品種ごとに異なる5つのプレス機、エリア別、区画別で仕込める150個もの発酵用のステンレスタンクを揃えるなど、個人生産者には出来ない、協同組合ならではの醸造も品質のカギとなっています。
土壌の多様性
多彩な土壌があるおかげで様々な品種を一番適正な場所で栽培することが出来きます。石灰岩、川の堆積土、氷河に削られて出来た氷堆石(モレーン)土壌があり、それらの土壌は斑岩(porphyry)や大理石(marble)、片麻岩(gneiss)、雲母(mica)が層をなす母岩の上に広がっています。また、ドロマイト(苦灰岩・組成の柔らかい石灰岩)はワインにフレッシュさを与えます。
葡萄栽培
化学的なものは一切使用せず、契約農家のほとんどはビオロジック栽培です。ビオディナミの考えに従っているため、数年後にビオディナミに転換しようと思えば可能なレベルです。しかし、申請のための規定がかなり複雑で多大な労力がかかること、近年の温暖化による天候不順への緊急な対応の余地を残しておきたいこと、ワインの品質が重要であり、「認証」によるマーケティングの方針は持たないことなどの理由から何の認証も取得していません。また、各葡萄栽培農家とはSNSで繋がっており、収穫のタイミングなど瞬時に共有が出来ます。例えばナルス マルグライドのアグロノミストが、水曜日に「収穫は金曜日の何時がベスト」と判断したら、すぐにその情報を共有します。もし人手が足りなければ、共同組合内の他の農家が収穫を手伝うため、僅か2日先の指示であっても対応が可能となります。これには生産地域が広い範囲に分散している事も優位に働いています(南北で収穫時期に約2ヶ月間の差があるため、各農家が助け合うことが出来る)。もし全ての畑を自社で所有している場合、2日後に必要な人員を急遽集める事は不可能でしょう。
醸造段階では、契約農家をセラーに招き、実際に自分たちが栽培した葡萄で仕込んでいるワインをテイスティングしてもらいます。葡萄栽培だけでなく、ワイン醸造まで関わりを持ってもらう事で、葡萄の栽培状況によりどのようにワインの味に影響するか、今後どのように葡萄にアプローチすべきか考えてもらうなど建設的な関係を築くことが出来るからです。これがトップクラスの品質を誇る理由です。
<グラヴィティー フロー(重力を利用)による最新式のセラー>
現在あるセラーは2011年に完成しました。最新の技術を導入したモダンなセラーです。重力を利用したグラヴィティ フローによるワイン醸造が出来るよう、斜面に建てられています。これによって、葡萄や果汁をポンプで吸い上げて、タンクへ送るというようなワインに負担を与える作業をしなくてよくなります。エリアごと、区画ごとに分けて醸造するため、150もの発酵用ステンレスタンクがあります。発酵が終わってから、「クラシック」と「クリュ」に使うキュヴェを選別します。
<ナルスマルグライドの強み>
アルト アディジェ北部、ボルツァーノとメラーノの間に位置する小さな村ナルスから南部のマルグライドまで約170haの畑があり、約140軒の栽培農家がそのエリアの土壌、気候条件に最も適した葡萄品種を栽培しています。北から南まで100kmの間に15の栽培エリアがあり、それぞれのエリアに異なる土壌、日照、気候条件があります。