【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)

 

【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)

ヴェルジッソンのプルミエ クリュ「レ クレイ」から眺める風景。左手にはソリュトレの奇岩が見える。

 頼れる男、ダヴィド ビアンフェ!

フランス現地視察もいよいよ後半に差し掛かってまいりました。南西地方、ボルドー、そして南ローヌに続き、今回からはブルゴーニュの様子をご紹介します。まずは、マコネのビュシエール村でワイン造りを営む個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」についてです。ダヴィドは、ダヴァイエ村にある醸造学校を卒業した後、2009年に自らの名を冠した小規模ドメーヌを設立しました。栽培、醸造ともにほとんどの作業をひとりで行い、プイイ フュイッセやサン ヴェランなどのワインを生産しています。

 

実は今回の旅はすべて順調ではありませんでした。ちょうどこの日、高速道路を下りた先でレンタカーが故障してしまい、全く動かなくなってしまったのです。これはもう、今日の予定はキャンセルするしかない……。訪問予定だった生産者に状況を説明し、レンタカー会社からの連絡を待ちながら途方に暮れていると、さっそうと現れた男性が声をかけてきました。「あれっ……どこかで見覚えが……」。そう、なんとダヴィドが私たちを助けに来てくれたのでした! ダヴィドの協力のおかげで、関係各所へのやり取りをスムーズに終えることができ、無事に彼の車でワイナリーに辿り着くことができました。

 

 

【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)サン ヴェランの銘醸畑、ダヴァイエ村の「クロ デ ポンセティ」にて

 

実は、ダヴィドに実際に会うのは今回が初めてです。2023年4月に取り扱いを初めてまだ1年しか経過していませんが、難しいヴィンテージだと感じさせない2021VTの出来栄えから、じわじわとファンを増やしつつある生産者になっています。同行したメンバーのひとりが、「物語の主人公みたいな人」といったのも納得できるような人柄で、さりげない気配りや心遣いの出来る、すがすがしい性格の人物です。

 

ダヴィドはシャルネイ村、ダヴァイエ村、ヴェルジッソン村に合計で約6.75haの葡萄畑を所有しています。細かく内訳を書くと、プイイ フュイッセ プルミエ クリュの「レ クレイ」に0.6ha、プイイ フュイッセに2.5ha、サン ヴェランに0.45ha、マコン ヴィラージュとマコン ビュシエールに3.2haです。すべてシャルドネですが、出来上がるワインは区画によってさまざまな個性を備えています。

 

さっそく葡萄畑を案内していただきました。上の写真はサン ヴェランの銘醸畑「クロ デ ポンセティ」での1枚です。2019年に植樹した若い区画で、土壌は粘土と石灰岩質、南西向きで日当たりが良く、すべてオーガニックで栽培されています。プイイ フュイッセ プルミエ クリュ レ クレイがあるヴェルジッソン村の近くですが、ヴェルジッソン村ではなくダヴァイエ村にあり、アペラシオンはサン ヴェランとなります。ダヴィド ビアンフェが所有する畑の中でも最も小さく、この区画はわずか0.16haしかありません。出来上がるワインはエレガントでバランスが良く、パイナップルやレモンのような熟した果実の味わいが楽しめます。

 

 

 絶景から生まれるワイン

【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)プルミエ クリュに格付けされた「レ クレイ」。急峻な斜面を下りるとヴェルジッソンの村に辿り着く

 

こちらは、ヴェルジッソン村の葡萄畑「レ クレイ」です。2020年に22のクリマがプイイ フュイッセ プルミエ クリュに認可されて話題となりましたが、この「レ クレイ」もそのうちの1つです。まさに絶景というべき素晴らしいロケーションで、ヴェルジッソン村を見下ろす急斜面に位置しており、ソリュトレの奇岩も眺めることができます。この地域において最も景観の良い場所としても知られており、天気が良ければモンブランを眺めることができるそうです。また、背後にはヴェルジッソンの奇岩がそびえ、畑の土壌にもこの奇岩から来る石灰が豊富に含まれているそうです。

 

 

 

【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)「レ クレイ」の葡萄畑と、背後にそびえ立つヴェルジッソンの奇岩

 

この景色を眺めていると、「なぜ今までプルミエ クリュがなかったのだろう」と不思議に感じられるほどの絶景です。もちろん景色が良いだけではなく、標高の高さに加え強い風が吹いており、5月にも関わらず寒さを覚えるほどでした。これほど厳しい環境で育った葡萄が、ただのワインになるはずがないと確信させられました。

 

 

 

【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)ダヴィド ビアンフェの本拠地「ビュシエール村」の畑

 

ダヴァイエ村とヴェルジッソン村の葡萄畑を見学した後、ダヴィドのワイナリーがある北のビュシエール村へと向かいます。ワイナリー近くで停車したかと思うと、木の枝で入口が隠されたかのようなあぜ道へと案内されました。半信半疑でダヴィドについていくと、視界が開け、美しい葡萄畑の様子が目に飛び込んできました。

 

 

こちらは「マコン ビュシエール」を生む畑で、植樹は1990年。今年で樹齢34年です。土壌は粘土石灰岩質ですが、貝の化石も見受けられます。斜面に位置していて雨が多いため、土壌流出を防ぐために一列おきに草を生やして対応しているそうです。先ほどのヴェルジッソン村の葡萄畑に感じた厳格さとは異なり、どこか牧歌的で、平和そのものと感じられるような、なんとも言い難い美しい空間でした。

 

 

【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)「ここに貝殻の化石があるだろう」とダヴィド

 

 

 個人生産者が造る美味しいワイン

 

【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)ダヴィドのワイナリー。テイスティングルームには窓や柵がないため注意が必要

 

 

【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)セラーの様子。小さなドメーヌであることが良く分かる

 

葡萄畑の後はワイナリーの見学です。上の2枚の写真をご覧いただくと、その規模感が伝わるのではないかと思います。ダヴィドいわく「外観の美しさよりも実用性を重視した」とのこと。収穫した葡萄の受け入れとプレスはワイナリーの外で行い、その後セラーに移して醸造を行っています。野生酵母によってアルコール発酵を行い、その後はマロラクティック発酵が起こるのを自然に待つそうです。SO2はごく少量に留めており、添加するタイミングもマロラクティック発酵が終わった後と、ボトリングの時だけです。

 

「テロワールそのものを表現したいので、アルコール発酵、マロラクティック発酵、どちらも何も添加しない。何も加えず、自然に発酵が起きるようにしている。厳しい畑仕事をして、素晴らしい葡萄が得られている。だから醸造で何かを加えたくないし、その必要もない」とダヴィドは話してくれました。彼の誠実な人柄は、出来上がるワインにしっかりと表現されています。

 

 

【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)開放的なテイスティングルームで、いざ試飲!

 

 

最後に、最新の2022VTのワインを試飲しました。「暑い年だったため酸を落とさないようにするのが大変だったよ。葡萄の葉を残して日陰を造り、日照を防ぐことで低温を保ち、酸をキープするようにしたんだ」とダヴィドは話します。マコン ヴィラージュから始まり、マコン ビュシエール、サン ヴェラン クロ デ ポンセティ、プイイ フュイッセ ヴィエイユ ヴィーニュ、最後にプイイ フュイッセ プルミエ クリュ レ クレイ……と、一連のワインを試飲しましたが、どれも暑い年だと感じさせないほどの素晴らしい酸とミネラルがあり、キラキラと輝くような、凛とした味わいを持つ見事なワインです。

 

少量生産の個人生産者であるため、海外のワインガイドでの評価はまだありませんが、フランスの「ル ギド アシェット デ ヴァン(通称アシェットガイド)」では毎年のように掲載されており、その実力は折り紙付きです。また、同じくフランスの「ラ ルヴュ デュ ヴァン ド フランス(通称RVF)」でも過去に取り上げられており、地元で愛される生産者だということが良く分かります。ブルゴーニュというと、コートドールのワインが何かと取り上げられがちですが、マコネのワインにも本当に素晴らしいものがあるのだと、ご体感いただけるのではと思います。ぜひ一度、ダヴィドのワインを味わってみてください!

 

株式会社稲葉 経営企画室 藤野 晃治

 

★次回は、ブルゴーニュ・ボージョレの生産者「オリヴィエ デパルドン」をご紹介します。

 

 

【現地視察レポート】美しい葡萄畑から生まれる手づくりのブルゴーニュ。ひそかに人気上昇中のマコネの個人生産者「ダヴィド ビアンフェ」(経営企画室 藤野晃治)

 

 

 

ダヴィド ビアンフェのワイン一覧

マコン ヴィラージュ 【FD-089/白・辛口】

マコン ビュシエール 【FD-090/白・辛口】

サン ヴェラン クロ デ ポンセティ 【FD-091/白・辛口】

プイイ フュイッセ ヴィエイユ ヴィーニュ 2021VT 【FC-791/白・辛口】

プイイ フュイッセ ヴィエイユ ヴィーニュ 2022VT 【FD-092/白・辛口】

プイイ フュイッセ プルミエ クリュ レ クレイ 【FD-093/白・辛口】

➡「ダヴィド ビアンフェ」について、もっと知りたい方はこちら! 

 

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