【現地視察レポート】現状に満足せず、常に変化するのが強み。「ワオ!」と驚かせるワインを造るため、挑戦を続ける生産者 "シャトー デ ゼサール"(経営企画室 藤野晃治)

【現地視察レポート】現状に満足せず、常に変化するのが強み。「ワオ!」と驚かせるワインを造るため、挑戦を続ける生産者 "シャトー デ ゼサール"(経営企画室 藤野晃治)

 

 輸入開始から30年!

ダーム ド サッラシ、ドメーヌ ラウゲに続いて訪問したのは、同じフランス南西地方の生産者、シャトー デ ゼサールです。ワイナリーの前で、いつものようにパスカルとフラヴィが出迎えてくれました。ベルジュラックといえばシャトー デ ゼサールといえるほど、皆様にとってもお馴染みの生産者かもしれません。

 

1994年の輸入開始からちょうど30年が経ち、近年はパスカルから娘のフラヴィへと手綱が渡されつつあります。フラヴィの加入によって、ワインはより洗練され、エレガントに変化しています。

 

 

「日本のお客様には本当に感謝している。名前ではなく、品質で判断してくれる市場は珍しいんだ。だから私のような生産者は、やりたいことがすべてできる最高の市場だと考えている」とパスカル。

 

シャトー デ ゼサールの特徴は、常にオープンマインドで変化し続けること。既存のやり方に縛られず、常に時流を見て動き、挑戦しながら成長してきました。時には地元でも「よそ者」扱いされるほどで、周囲の理解が得られないこともあったそうです。しかし今では、多くの生産者がシャトー デ ゼサールのやり方を真似するようになったと、パスカルは笑いながら話してくれました。

 

 

【現地視察レポート】現状に満足せず、常に変化するのが強み。「ワオ!」と驚かせるワインを造るため、挑戦を続ける生産者 "シャトー デ ゼサール"(経営企画室 藤野晃治)(新商品の「イリコ プレスト ソーヴィニヨン ブラン(FD-180)」を自信ありげに見せるフラヴィ)

 

一方、フラヴィもパスカルに似た、オープンマインドの持ち主です。実は弊社では、訪問する度に新しい発見があるパスカルの言葉を、通称"パスカル語録"としてまとめているのですが、ここ数年で"フラヴィ語録"も必要になってきました。今回は趣向を変えて、二人の言葉を見てみましょう。

 

 

 

今までのようなクラシカルなワインを造り続けることと同時に、お客様を、ワオ! と驚かせるようなワインを造ることが大事。新しくリリースしたソーヴィニヨン ブランの新商品、イリコ プレストは、ワインを飲み始めたばかりの若いお客様にも親しみやすいスタイルとして造った。しかし一方で、私たちはすべてのワインについて、私たちの求める基準に満たないと感じた場合は造らない。これは、私たちが品質について真剣に考えていることの証だと思う」(フラヴィ)

 

 

 

【現地視察レポート】現状に満足せず、常に変化するのが強み。「ワオ!」と驚かせるワインを造るため、挑戦を続ける生産者 "シャトー デ ゼサール"(経営企画室 藤野晃治)(ワイナリーの目の前に広がる葡萄畑の様子。美しい自然がどこまでも広がっている)

 

「ワイン造りについては、本当に多くのことを変更している。赤ワインの抽出はソフトなものに変更して、飲み心地の良いワインにした。樽の影響も控えめにした。フランスでも、買ったワインを今日飲みたいという方が多い。つまりリリースした時に飲みやすくなければならない」(フラヴィ)

 

 

「酸を保つためにスキンコンタクトをやめた。バトナージュもやめて、収穫時期も早めた。今の時代は酸が求められている。酸があることは大事。でも一番重要なのは、美味しいワインを造ること!」(フラヴィ)

 

 

「ただ変えるのではなく、フィードバックを取り入れることが重要。たとえば嗜好の変化や、日本の消費者の方の意見を取り入れている」(パスカル)

 

 

【現地視察レポート】現状に満足せず、常に変化するのが強み。「ワオ!」と驚かせるワインを造るため、挑戦を続ける生産者 "シャトー デ ゼサール"(経営企画室 藤野晃治)(新たに倉庫を建設。ボトルやラベルなどの資材を置いている。完成したばかりなのに、来年さらに拡張を予定しているそう)

 

「2021VTは難しいヴィンテージだったため、赤ワインは、スタンダードキュヴェとメッツォだけを生産した。そのため、上級キュヴェのプレスティージュやセメンタル用の葡萄もこれらのワインに入れている。これは、私たちが品質に対してシリアスに考えていることの証だと思う。赤ワインだけではなく、他のワインも同様に、私たちの求める基準に満たないと感じた場合は造らない」(フラヴィ)

 

 

【現地視察レポート】現状に満足せず、常に変化するのが強み。「ワオ!」と驚かせるワインを造るため、挑戦を続ける生産者 "シャトー デ ゼサール"(経営企画室 藤野晃治)(訪問の前日、ドルドーニュ川沿いのレストランにて。ここでも"パスカル語録"&"フラヴィ語録"を連発!)

 

「決して止まらないことが私たちの成功の秘密だ。本当に、数多くのワイン生産者が基本を忘れている。それは畑仕事だ。畑を見なければダメなんだ。私たちは常にアクティブでいなければならないと考えている。そのためには、たくさんのトライアルをしなければならない。だから常に、そのトライアルに対してリアクションをとらなければならない。なぜなら、収穫は一年に一度しかないのだから。常に後悔しないよう、ベストなことをしなければならないんだ」(パスカル)

 

 

「私たちがとても大事にしている哲学がある。良いと思うレベルに達しなければリリースしない。そして、ちょうど良いタイミングになってからリリースする。セメンタルは本当に本当に素晴らしいヴィンテージにしか生産していない。だから、ワオ! と言ってもらえる。私たちはクオリティしか求めない。それ以外は求めていない!」(パスカル)

 

 

 常に変化することがシャトー デ ゼサールの強み

 

【現地視察レポート】現状に満足せず、常に変化するのが強み。「ワオ!」と驚かせるワインを造るため、挑戦を続ける生産者 "シャトー デ ゼサール"(経営企画室 藤野晃治)

 

 

毎年、必ず驚きを与えてくれるシャトー デ ゼサール。今回ご紹介した"語録"は、すべて今年の訪問時に出た最新版です。実は今回、私が一番驚いたのは、「白ワインのスキンコンタクトをやめた」という点でした。なぜなら、2018年に話した時に、「スキンコンタクトが最も大事だ!」とパスカルが話していたからです。彼らが造りを変更した理由は「酸を保つため」。以前のやり方が間違っていたというわけではなく、環境や嗜好の変化に合わせてチューニングするということで、彼らのこうした姿勢はまさにオープンマインドと言えます。

 

ワイナリーのテイスティングルームでは、最新ヴィンテージのワインを中心に、ほとんど全種類のワインを試飲しました。白ワインは、さらにフレッシュで輝くような酸とミネラルが感じられながら、物足りないということは決してなく、圧倒的なコストパフォーマンスの高さに驚かされます。特に、シャルドネから造られる「アダージョ デ ゼサール ブラン(FB-275)」は、以前までの樽の効いたクリーミーなスタイルとは大きく異なり、繊細でエレガントな味わいに仕上げられています。弊社社長の稲葉も「綺麗な酸があり、アルコールの高さも感じさせない。本当に素晴らしいワインです。和食にも合わせられるのではないでしょうか」と大絶賛。

 

【現地視察レポート】現状に満足せず、常に変化するのが強み。「ワオ!」と驚かせるワインを造るため、挑戦を続ける生産者 "シャトー デ ゼサール"(経営企画室 藤野晃治)

 

また、赤ワインについてもタンニンの質感の良さに磨きがかかっており、若いヴィンテージでも非常にしなやかで、バランスの取れた味わいが楽しめました。どのキュヴェも、以前よりもエレガントな質感が際立っています。ただし、シャトー デ ゼサールが造る最高峰のカベルネ ソーヴィニヨン、「キュヴェ セメンタル(FD-337)」は例外で、飲む人を圧倒するような素晴らしいタンニンがあり、力強く凝縮したスタイルはまさにモンスターワインと呼べるほど! 私も1本購入して、個人的に熟成させてみるつもりです。このワインを抜栓する時には、シャトー デ ゼサールもさらに成長しているのではないかと大きな期待を寄せながら……。

 

そして私よりもはるかに長く、これまでの30年を支えてくださった皆様に感謝するとともに、これからの31年目をともに歩めることを大変嬉しく思います。ワインの美味しさだけではなく、造り手の想いや情熱を皆様にお伝えしたい! 改めてそう強く思う訪問となりました。

株式会社稲葉 経営企画室 藤野 晃治

 

★次回は、ボルドーの生産者「シャトー ロシェ コルバン」をご紹介します。

 

【現地視察レポート】現状に満足せず、常に変化するのが強み。「ワオ!」と驚かせるワインを造るため、挑戦を続ける生産者 "シャトー デ ゼサール"(経営企画室 藤野晃治)(夕暮れ時のドルドーニュ川とベルジュラックの街並み)

 

 

シャトー デ ゼサールのワイン一覧

シャトー デ ゼサール ブラン 【FA-238/白・辛口】

シャトー デ ゼサール ブラン 375ml 【FB-493/白・辛口】

マノ ア マノ ソーヴィニヨン ブラン 【FC-286/白・辛口】

イリコ プレスト ソーヴィニヨン ブラン 【FD-180/白・辛口】

シャトー デ ゼサール ブラン キュヴェ プレスティージュ 【FB-237/白・辛口】

アダージョ デ ゼサール ブラン 【FB-275/白・辛口】

シャトー デ ゼサール ルージュ 【FA-236/赤・ミディアムボディ】

シャトー デ ゼサール ルージュ 375ml 【FB-313/赤・ミディアムボディ】

メッツオ ベルジュラック ルージュ 【FB-276/赤・フルボディ】

レ フラン 【FC-203/赤・フルボディ】

マルベック ラ ヴィーニュ ア レオンス 【FC-423/赤・フルボディ】

シャトー デ ゼサール ルージュ キュヴェ プレスティージュ 【FA-239/赤・フルボディ】

シャトー デ ゼサール ルージュ キュヴェ プレスティージュ 375ml 【FB-274/赤・フルボディ】

アダージョ デ ゼサール ルージュ 【FB-238/赤・フルボディ】

シャトー デ ゼサール キュヴェ セメンタル 【FD-337/赤・フルボディ】

シャトー デ ゼサール キュヴェ フラヴィ 500ml 【FB-239/白・甘口】

 

➡「シャトー デ ゼサール」について、もっと知りたい方はこちら! 

おすすめ記事