ワインに関するよくあるご質問をご紹介しています。
お問い合わせの前にまずはこちらをご覧ください。
本当です。ワインには賞味期限がありません。国税庁のホームページでは、以下のような回答がなされています。
■国税庁ホームページ 「 テーマ06 お酒のおいしさについて」
食品衛生法では、製造後に変質したり腐敗する恐れがある食品については、安心して消費できる期限の表示を義務づけています。しかしお酒については例外として、賞味期限等の表示をしなくてもよいことになっています。それは、含有するアルコールにより、人体に有害な腐敗等の恐れがないこと及び製造後の期間と品質劣化の間に明確な関係がないことからだと思われます。
(引用終わり)
ワインは、フレッシュなうちに楽しむタイプと、ある程度熟成させてからの方が美味しくなるタイプがあります。例えば、ボージョレ ヌーヴォーも熟成できないわけではないのですが、「新酒を楽しむ」という文化を考えると、出来立てを味わっていただくことをおすすめしています。また、何十年も熟成させられるポテンシャルを持つワインであっても、適切な保存環境がなければ、数年で状態が悪くなってしまうこともございます。
また、ワインは古ければ古いほどおいしい、古ければ古いほど価値がある、というわけではございません。例えば、冷蔵庫や押し入れで何年も保管していたワインの場合は、健全な状態ではなくなっている場合もございます。抜栓して香りを嗅いでみる等、状態を確認していただき、問題がある場合にはお飲みいただかない方が良いかもしれません。専用のワインセラー等、適切な保存環境がない場合は、出来るだけすぐにお飲みいただくことをおすすめいたします。
実は、赤ワインの場合も冷やした方が美味しくお楽しみいただけます。よく言われる室温はヨーロッパでの場合を指しており、高温多湿な日本では、室温だと温度が高すぎる場合があります。
しっかりとした力強いスタイルの赤ワインは16℃~18℃がおすすめです。 気温の高い季節は冷蔵庫で30分から1時間程度冷やしていただくと飲み頃の温度に近づきます。
フルーティで軽やかなスタイルの赤ワインは12~14℃程度でも美味しく楽しめる場合があります。
また、ボトルやグラスを置いたままにしておくと徐々に温度が上がってきます。飲み始めの温度だけでなく、飲んでいる間の温度管理にも気を配ることで、より一層美味しく楽しめます。
栓を開けてその日のうちに飲みきれなかったら、栓をして冷蔵庫に保存しておくことをオススメします。ワインによって差があるものの、3日~1週間ほどは美味しくいただけます。冷蔵庫に入れず、平温で置いておくと、特に夏場はワインが痛みやすくなってしまいます。
弊社では、ワインの情報を管理するために、商品ごとに個別のコードを設定しています。バックシールに、アルファベットと数字を組み合わせたコードが書かれていますので、そちらをご確認ください。
例)F-49
ワインのヴィンテージ変更等に伴い、商品コードを新たに発行する場合がございます。このため、同じ生産者の同じ商品名のワインであっても、異なる商品コードとなる場合がありますので、お問い合わせの際には商品コードをご確認いただけますと、スムーズにご対応が可能です。
例)FC-952 シャトー フルール オー ゴーサン 2011
FC-953 シャトー フルール オー ゴーサン 2012
また、同じ生産者のワインでも、商品名が似ているものがございます。誤って別の商品をご案内してしまわないよう、商品コードでの管理を行なっております。
例)I-631 バローロ / テッレ デル バローロ
I-391 バローロ リゼルヴァ / テッレ デル バローロ
ワインを含むすべての食品には、「食品添加物」が使用されることがあります。厚生労働省によると、食品添加物とは「保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるもの」を指します。ワインの場合、一般的に広く知られているのは「酸化防止剤」で、主に亜硫酸塩とビタミンCが用いられます。そのほかに、安定剤や酸味料などが使用されることがありますが、これらの添加物は風味をごまかすために添加されるものではなく、ワインを酸化や雑菌の繁殖から守ったり、沈殿物が出ることで不良品と間違われることを防いだりする目的があります。このため、添加物は安価なワインだけでなく、高価なワインであっても使用されている場合があります。オーガニックワイン、自然派ワインと呼ばれるワインであっても、酸化防止剤や安定剤を添加することが認められているのは、安全性が高く、品質保全の効果が高いためです。
また、ワインの品質だけでなく、環境への配慮から添加物を使うことを選択する生産者もいます。たとえば、添加物を使わず酒石の析出を防ぐためには、ワインの冷却処理を行う必要があります。しかし、冷却処理を行うためには多量のエネルギーが必要となり、環境への負荷だけでなく、コストの上昇も発生します。一方で、安定剤と呼ばれる食品添加物(この例の場合はメタ酒石酸やCMC)を添加することで、環境への影響を抑えながら酒石の析出を防ぐことができます。
ただし、食品添加物には決められた基準があります。基準を守り、正しく、安全な分量が使用されるべきです。食品添加物は、その安全性が化学的に確認されています。生物に対して無害であると判断出来た最大の添加量を「無毒性量」として決め、その量の100分の1を「1日摂取許容量」、さらにそれ以下の量を添加可能な量としています。弊社では、添加物が使用されているワインについては、バックシールにその旨を記載しています。以下に、主に使われることの多い添加物について記載いたしますので、ご参考ください。
酸化防止剤
亜硫酸塩や、ビタミンC(VC、L-アスコルビン酸)が使用されます。日本語の文字を一見すると酸化を防ぐために添加されているように思えますが、酸化を防ぐ効果は副次的なもので、実際の効能としては雑菌の繁殖を防ぐ「抗菌作用」の点で重視されています。また、亜硫酸塩はアルコール発酵の際に自然に生成されるため、基本的にすべてのワインに含まれています。「酸化防止剤無添加」のワインであっても、自然発生する亜硫酸塩を含んでいる場合がほとんどです。そのため、酸化防止剤無添加ワインであっても、裏ラベルには酸化防止剤含有の表示をしていることがあります。
・亜硫酸塩(SO2)
高い抗菌作用があり、ワインを保護することができる有用な物質です。古代ローマ時代から使用されてきたという長い歴史があり、2,000年以上の時間をかけてその安全性が確かめられてきたということができます。ただし、アレルギーをお持ちの方にとっては注意が必要な物質です。また、喘息の症状がある方にとっては、喘息を誘発する可能性があります。日本の食品衛生法では、ワインの亜硫酸塩の残存量は350mg/Lまでとされていますが、ワインを輸入する際には必ず成分分析表の提出が義務付けられており、この基準を超えたものはそもそも輸入が出来ません。また、近年は多くの生産者が亜硫酸塩の添加量を意識的に抑えているため、実情としては200mg/Lを超えるものさえも稀といえます。
なお、「亜硫酸塩が頭痛を引き起こす」という説がありましたが、Sophie Parker-Thomson MW(ソフィー パーカー トムソン / マスター オブ ワイン)の研究によると、ワイン醸造において生成される「ヒスタミンやチラミンなどの生体アミン」が頭痛などのワイン不耐症を引き起こす要因のひとつであり、「むしろ適切に亜硫酸塩を添加することで生体アミンの生成を抑止する」という結果が得られています。ただしこれは、あくまでも研究結果のひとつであり、完全に亜硫酸塩が頭痛と無関係だと断定するものではございません。
・ビタミンC(VC、L-アスコルビン酸カリウム)
広く知られる成分ですが、ワインにおいても酸化防止剤として添加されることがあります。VCはVitamin Cの略称、L-アスコルビン酸はビタミンCの正式名称、L-アスコルビン酸カリウムはビタミンCのカリウム塩です。L-アスコルビン酸カリウムは水に溶けやすい性質があるため、ワインに添加する場合はL-アスコルビン酸カリウムとして使用されています。ワインだけでなく、食品に対しても一般的な添加物で、主に変色や風味の劣化を防ぐために使用されます。また、栄養強化を目的として添加する場合には表示義務がなく、食品添加物として使用する場合は、酸化防止剤と表示する必要があります。
安定剤
文字通り、ワインの状態を安定させるために使用されています。たとえば、沈殿物(澱/オリ)の発生を防ぐために添加されます。有名な沈殿物のひとつに酒石と呼ばれる結晶がありますが、これはワインに含まれている酒石酸と、カリウムやカルシウムが結合することで結晶化し、酒石として析出したものです。その色や形状はさまざまで、発泡スチロールやガラス片のようにも見えることがあります。生産者にとってはガラス片などと誤解されることを防ぐために、酒石に対処したいところです。
この際、冷却処理を行うことが一般的ですが、酒石酸やカリウムが減少するため風味に影響があること、冷却するためにコストがかかること、エネルギー消費によって環境負荷も高まるなどのデメリットも挙げられます。そして、これらのコストはワインの価格に反映されます。これらの理由により、特にサステナビリティを重視する生産者では、あえて行わないことを選択している場合があります。また、弊社では酒石の析出が多いドイツワインについて、生産者にあえて酒石処理を行なわずにそのまま瓶詰めすることをお願いしている場合もあります。
・メタ酒石酸
メタ酒石酸は、葡萄に含まれる有機酸の一種である酒石酸を加熱して得られる成分です。酒石酸と結合することで強制的に酒石を析出させることができます。析出した酒石を濾過によって取り除くことで、瓶詰め後のワインには酒石が析出しにくくなります。お客様のところで酒石が出るのを防ぐために、あらかじめ酒石を取り除いておく、という方法です。コストが低く、処理が容易なため一般的に使用されています。
・CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)
天然のセルロースを加工してつくられた安定剤です。水に溶けないセルロースにカルボキシメチル基を導入することで可溶化したものです。ソース、ドレッシング、スープやアイスクリームやヨーグルトなどの乳製品などの食品添加物としてだけではなく、化粧品、洗剤、建築材料、リチウムイオン電池など幅広い分野で用いられています。食品添加物としては、安定剤としてだけではなく、増粘剤としても使用されます。CMCは酒石酸の結晶化を抑制し、酒石の生成を遅くすることで析出しにくい状態に安定させてくれます。
アカシア(アラビアガム)
アカシア(アラビアガム)は、マメ科アカシア属の木から採取される天然樹脂で、無味無臭の物質です。様々な食品に使用されており、機能性食品では食物繊維源として使用されています。また、ビールの泡を保持したり、お菓子では砂糖の結晶化を防止したり、チョコレートやキャンディー、チューインガムなどのコーティングにも使用されています。ワインの場合は、その高い乳化特性(水と油のように混ざりにくいものを、混ざりやすくしてくれる特性)を利用するために添加されます。
成分が均一に混ざり、澱の管理やフィルタリングを助け、透明度や口当たりを向上させます。特に赤ワインでは、澱が集まりやすくなり、見た目や口当たりが改善されます。また、ワインの渋みを和らげ、飲みやすさを促進させます。安価なワインだけでなく、多くのワインで広く使用されています。特に醸造から出荷までの期間が短いワイン(新酒など)においては、熟成によって沈殿を促すアプローチが取れませんので、非常に有用な添加物として知られています。
ワインのラベルに記載されている「酸化防止剤」とは、通常SO2(二酸化硫黄/亜硫酸塩/亜硫酸ガス等)と呼ばれるものです。SO2は葡萄中に微量ながら含まれ、また、ワインの醸造段階でも必ず発生します。そのため、添加量がゼロであっても、ほとんどのワインでは含有量はゼロにはなりません。ワイン中にSO2が10mg/l以上含まれる場合、ラベルに表示することが義務付けられており、「酸化防止剤(亜流酸塩)」のように表示されます。このため、弊社で輸入する酸化防止剤無添加ワインについても、同様に裏ラベルに表示しております。
リンゴを切って放置しておくと、だんだんと褐色を帯びていき味わいも変化してしまいます。これは、リンゴに含まれるポリフェノールの一種が、酸化酵素によって酸化してしまい、変色(褐変化)するためです。これは、葡萄果汁やワインでも同様に起こり得る問題ですが、この反応を抑止することが出来るのがSO2です。葡萄の果汁やワインの酸化を防ぐことが出来るため「酸化防止剤」と呼ばれていますが、実際にはその効用は様々で、ワイン醸造においてとても重要な働きをしています。
SO2は他の物質から酸素を奪って自身が結びつく「還元力」を有しているため、果汁やワインの酸化を防ぐことが出来ます。また、高い殺菌効果があり、有害なバクテリアなどの活動を抑止してくれます。例えば、ワインを寝かせるための木樽を殺菌したり(硫黄燻蒸と言います)、収穫した葡萄が傷むのを防いだり、甘口ワインや酵母を残したワインの場合は、流通時に瓶の中で二次発酵を起こさないようにするなど、様々な目的に応じて幅広く用いられます。このように、SO2をワイン醸造で用いる理由は、主に衛生管理(雑菌の繁殖を防ぐ)・品質管理(劣化を防ぐ)にあります。
ただし、SO2はアレルギー物質のひとつではあるため、多量に摂取することは推奨されていません。世界的な動きとして、ワインの生産者もSO2の使用量を減らす傾向にありますが、ただ減らしただけではワインの衛生状態や香味に問題が起きる場合があります。SO2無添加ワインだから健康に良いというわけではなく、衛生管理が出来ず微生物が発生してしまったり、酸化して風味が劣化したワインが出来てしまう可能性もあります。オフフレーバーと呼ばれる不快な香りが発生したり、残糖があれば瓶内で二次発酵を起こし、発生した炭酸ガスにより破瓶するリスクもあります。また、温度管理も通常のワインより徹底しなければなりません。多くの生産者がこうした問題の発生を防ぎながら、SO2の添加量を必要最小限にするために日々努力してワイン造りを行っています。
具体的な例を挙げると、畑仕事の段階から健全な葡萄を生育することで、使用するSO2の量を少なくすることが出来ます。葡萄を収穫するとき、腐敗果や傷のついた実が混ざっていると、酸化酵素(オキシダーゼ)が発生するため健全な葡萄よりも酸化しやすくなります。この場合、品質管理のためSO2を多く添加する必要が出てきます。つまりは健全な葡萄を収穫し、適切に管理することが重要ということになります。収穫の際に手摘みで細心の注意を払いながら選別を行なう生産者や、機械収穫で一度に収穫するものの、事前に畑に入り腐敗果などを間引いておくことで健全な葡萄を得る生産者もいます。
弊社で輸入するワインの生産者は、品質管理のために畑仕事を徹底し、健全な葡萄を得るために毎年努力を重ねております。例として、南フランス・ローヌの生産者であるロラトワール サン マルタンでは、葡萄の選別を徹底し、SO2は醸造段階では使用せず、瓶詰め時にごくわずかな量を使用しています(赤ワイン:約15mg/l、白ワイン約20mg/l)。SO2の添加量が少ない、あるいは無添加であるからといって、必ずしもオーガニックだというわけではありませんが、ロラトワール サン マルタンは周辺環境に配慮したワイン造りでも知られており、フランスのワインガイド『ギド デ ヴァン ベタンヌ +ドゥソーヴ2018』で「最高のオーガニック生産者(1位)」として掲載されています。
また、イタリアの代表的な生産者であるファンティーニの「カサーレ ヴェッキオ モンテプルチャーノ ダブルッツォ 2022」のSO2の含有量は83mg/l(輸入時の分析表上の数値)となっており、これはEUの定めるオーガニックワインの最大含有量100mg/lの基準値以下の数字となっています。ファンティーニは、辛口評価で知られるイタリアのワインガイド、『ルカ マローニ グイダ デイ ヴィニ イタリアーニ』で「イタリア最優秀生産者(1位)」に通算9度選ばれており、優れた品質とコストパフォーマンスの高さが評価されています。イタリア各地にワイナリーを所有しているため生産規模は大きいですが、ブティックワイナリー同様、畑仕事から醸造、流通管理など細部へのこだわりがワインに反映されています。
弊社では、酸化防止剤が無添加だからという理由でワインを輸入することはありません。生産者がどのような情熱をもって健全な葡萄を栽培し、ワインを醸造しているのか、品質や衛生管理を行っているのかについてをしっかりと見極め、その素晴らしさをそのまま皆様にお伝えする所存です。生産者がつくり上げた1年間の努力の結晶であるワインを、輸入の全行程を通して適切に管理し、確かな品質のまま皆様にお届けさせていただくことが私たちの使命です。そのため、酸化防止剤の含有量にかかわらず、すべてのワインを安心してお楽しみいただけますと幸いです。
コルクの上部にあるカビはワインの品質に問題はありません。きれいな布でふき取っていただければ大丈夫です。ワインの保存に最適な環境は、室温が10~17℃、湿度が70%以上と言われています。このような条件では、瓶の表面やコルクの上部にカビが発生してしまいます。海外の生産者を訪問して地下ワインセラーを見せていただくと、古いヴィンテージのワインにはカビがびっしりと着いた状態で保管されています。これは最適な条件でワインが保管されている証拠です。
写真:ドイツ ヴァイングート・ドクター・ワグナーの地下セラーにて(2017年撮影)

ワインの瓶の底あるいはコルクに、光る結晶体があることがあります。これは葡萄に含まれる酒石酸と、葡萄が土から吸い上げたカリウムが結合したものです。ドイツでは「ワインシュタイン」と呼ばれるもので、特に品質の優れたワインに現れるといいます。ブドウに由来するもので品質には影響がなく、人体にも影響はありません。

これは澱(オリ)と呼ばれるものです。天然の葡萄果汁や発酵による酒石、葡萄カス(果肉、皮、種の破片)、酵母カスで、ワイン造りにおいて澱が発生することはむしろ自然ともいえます。生産者によっては品質を重視するため、あえて澱を残してワインを出荷することもあります。
澱(オリ)は葡萄に由来するもので人体には無害ですが、ざらざらして口当たりが悪く苦味もあります。飲む数日前に瓶を立てておき出来るだけ瓶の底に澱を残してグラスに注いでいただくか、デカンタのような別の容器に移して飲んでいただくことをおすすめします。