生産者情報

ヴァイングート フリッツ ハークWeingut Fritz Haag

ブラウネベルク村を代表する最高の生産者による透明感あふれるリースリング。

ユッファーとユッファー ゾンネンウーアからの極上のワイン。

ヴァイングート フリッツ ハーク
ヴァイングート フリッツ ハーク
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ヴァイングート フリッツ ハーク
ヴァイングート フリッツ ハーク
ヴァイングート フリッツ ハーク
ヴァイングート フリッツ ハーク

生産者情報

ドイツ
地域 モーゼル
歴史

1605年 初めての記録がある。

1925年 村の名前がデュセモンドからブラウネベルグに変更。

1957年 ヴィルヘルム ハークが、20歳で、病気の父フリッツからワイン造りを引き継ぐ。

2005年 オリヴァー ハークが引き継ぐ。

オーナー

オリヴァー ハーク : 1973年生。ヴィルヘルムの次男。ガイゼンハイムの大学を卒業し、醸造のディプロマを取得、ナーエのデンホフやルヴァーのカルトホイザーホフでの実習を経て、南アフリカやオーストリアで経験を積んだ。

 

ヴィルヘルム ハーク : 1937年生。オリヴァー ハークと、シュロス リーザーのトーマス ハーク(長男)の父。

葡萄園

16.5ha  ユッファー8.0ha、ユッファー ゾンネンウーア3.5ha、グーツリースリングトロッケン用(急斜面)5ha

 

ユッファ― ゾンネンウーアとユッファーの違い : 

ユッファー ゾンネンウーアの方が粘板岩の岩盤比率が高く、岩盤は深くまであるので根が深く張らなければ水分を得られない。長くて25mほど。ゾンネンウーアは2~3年熟成させてリリースした方がその良さが発揮される。比較すると、ユッファ―はジューシーで, ユッファー ゾンネンウーアはエレガント。

<情報リンク>

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モーゼルの伝説的生産者ヴィルヘルム ハーク

1989年、初めてお会いしたヴィルヘルム ハークが「私の造ったワインを、誰がどのように売るかということは、私にとって実に重大なことなのです」と語ったことは、とても印象深く心に残っています。それはつまり、自分のワインが誰にでも売れればいいとは決して思っていないということです。私たちが彼のワインの輸入を開始した後、ヴィルヘルムは1993年に初出版された『ゴーミヨ ドイツワインガイド』の1994年版で、第1回の「ワインメーカー オブ ザ イヤー」に選ばれました。また、VDP(ドイツの高品質なワイン醸造家の協会)の設立メンバーでもあり、1984年から2004年までの20年間にわたって会長を務めていました。あるインタビューで「偉大なリースリングの個性を形成するのは何か?」と尋ねられた時、「お風呂みたいに飛び込みたくなるやつが最高さ!」と答えたエピソードは有名です。私たちが訪問した際も、「モーゼルワインはエンジョイできるワイン。暖かくなってきたらテラスに座って1本飲み終わってしまうようなものがいい」と熱く語っていました。

 

ヴィルヘルムのお気に入りは、その特徴が最も表現されているカビネットでした。2005年にはワイナリーを息子のオリヴァーへと譲っていましたが、私たちが訪問すると、必ず出迎えてくれました。特に印象的なのは、こちらの手が痛くなるくらいの力強い握手で、訪問したスタッフの思い出には必ずこのエピソードが残っています。そんなヴィルヘルムが、2020年12月に惜しまれながらこの世を去りました。彼のワイン造りの哲学は、2人の息子たちにそれぞれ受け継がれています。長男トーマスはシュロス リーザーで、次男オリヴァーはフリッツ ハークで、ともに世界に名を轟かせる素晴らしいワインを造り出しています。

 

父から家族の伝統を引き継いだオリヴァー ハークのこだわり

ワイナリーは、2005年よりヴィルヘルムの息子オリヴァーへと引き継がれています。オリヴァーは、偉大なる父に劣ることなく、むしろ父を超える勢いでその才能を発揮しています。『ワイン アドヴォケイト#243』では、オリヴァーの手による2017年ヴィンテージについて、テイスティングに提供された19種類のワインすべてが90点以上を獲得しており、そのうち17種類が93点以上、10種類が96点以上の高評価を獲得しています。また、3つのワインに100点満点が与えられ、ユッファー ゾンネンウーアのトロッケンベーレンアウスレーゼは、「可能ならば101点を与えたい」と絶賛されています。ドイツ国内のワインガイドでは『ゴ エ ミヨ ドイツワインガイド 2020』5房、『アイヒェルマン 2020』5星、『ファインシュメッカ― 2020』5星、『ヴィヌム 2020』4.5星を獲得しています。また『アイヒェルマン2018』ではワイナリー オブ ザ イヤーを受賞。こうした近年の評価は、オリヴァーの実力を確かに感じさせるものですが、彼は決して革命家のように振る舞うことはありません。『モーゼル ファイン ワインズ』の2019年1月号で、「ワイナリーの10年後」について尋ねられた際に、オリヴァーは次のように答えています。「誰もが偉大なプランが必要だと言います。しかし、私たちの未来へのプランは、何十年にもわたって非常に上手くやってきたことをこれからも継続することなのです。これこそが私達のエステートにとってベストだと考えています」。

 

ブラウネベルク村の2つの銘醸畑ユッファーとユッファー ゾンネンウーア

ワイナリーの歴史は長く、書類上もっとも古い記録は1605年に遡ります。モーゼルの葡萄畑は、2000年ほど前に古代ローマ人により開拓されました。この地域でもそれは例外ではなく、現在でも当時の古い醸造設備の遺跡を見ることが出来ます。ブラウネベルク村は当時、「甘い山」を意味するラテン語に由来する「デュセモンド(Dusemond)」として知られていました。記録によると、当時の聖職者がデュセモンドのワインを高く評価していたようです。フリッツ ハークでは、この歴史と伝統に敬意を表し、「デュセモンダーホフ(Dusemonder Hof)」をワイナリーの補足名称として使用しています。デュセモンド村には、ブラウネベルガーの名を冠した2つの著名な銘醸畑「ユッファー」と「ユッファー ゾンネンウーア」があり、この名声をさらに広めるために、1925年に村の名前がブラウネベルクへと変更されました。ブラウネベルクは「茶色い山」という意味で、この土地のスレート土壌に混ざる鉄の鉱脈の色にちなんでいます。「ユッファー」は、1790 年頃の地元の方言で、オールドミスや処女を意味しています。当時、この畑を所有していた貴族には3人の娘がいましたが、父から畑を引き継いだ際に全員未婚のままだったため、この名前が付いたとされています。その後、この畑からのワインは世界的にも有名になり、モーゼルの真珠とみなされ、かのナポレオンも愛蔵していたと言われています。

 

「ユッファー」、「ユッファー ゾンネンウーア」は、VDPが定める最高級格付けの「グローセ ラーゲ」に認定されており、ブルゴーニュに例えるとグラン クリュに相当します。葡萄は全てリースリングで、樹齢は25~30年ですが、ユッファー ゾンネンウーアのいくつかの区画には樹齢50~110年の古木が植えられています。どちらも土壌は青色粘板岩で、大きな石と岩状の粘板岩のため水はけが良く、ワインが繊細な酸を持つエレガントなスタイルとなり、パッションフルーツやライチ、キウイなどの果実味が感じられるという特徴があります。ユッファーは、端の冷涼な部分や中心部の石の多い部分など、様々な要素が反映される一方、ユッファー ゾンネンウーアは中心部の暖かい位置にあり、粘板岩の比率が高く、水分を得るために根が25mほども伸びます。オリヴァーは「ユッファー ゾンネンウーアの方が格は高く、グラン クリュのイメージで、より集約感のあるスタイル。ユッファーはプルミエ クリュで、より軽めのスタイル。ほとんど差は無いが、このスタイルの造り分けのためにゾンネンウーアの葡萄の収穫を少し遅くする」として区別しています。

 

オリヴァーは、「年によって自然の作用があり変化はあるがクリーンなワイン。ヴィンテージが違っても、フリッツ ハークのワイン、ブラウネベルガーのワインと分るスタイルを目指している」と語っていました。ワイナリーを大きくしすぎず、ブラウネベルク村の生産者として、小さな規模で、ハイクラスのワインを造っていきたいと考えています。

 

<評価>

『ゴ エ ミヨ ドイツワインガイド2020』5/5房、『アイヒェルマン2020』5/5星、『ファインシュメッカー2020』5/5F、『ヴィヌム2022』4.5/5星。兄のトーマスが経営する「シュロス リーザー」に準ずるトップ生産者の地位を築いています。

 

『ゴー&ミヨドイツワインガイド1994』で、第1回目の『最高の生産者』に選出。『ワイン プラス2017』と『ゴ エ ミヨドイツワインガイド2008』、『ヴァイン グルメ2008』で、「コレクション オブ ザ イヤー」。『アイヒェルマン2018』でベスト エーデル ズース(高貴な甘口) コレクション。『ワイン&スピリッツ 2021』で「トップ100ワイナリー」に選出。ヒュー ジョンソン「ポケット ワイン ブック2019」にブラウネベルグのトップ生産者として赤★★★★、「ワインは父ヴィルヘルムよりモダンなスタイル」と紹介。ロバート パーカー Jr.『ザ ワールド グレイテスト ワイン エステイト』に掲載。V.D.P.設立メンバー。

 

「ヴィルヘルムからオリヴァーにバトンタッチしたことで、フリッツ ハークのワインは、かつてウィーンのクラシック音楽がハイドンとモーツァルトからベートーベンとシューベルトに進化したように変化している。同じ家族のものでありながら、そのワインは現代的になり、より熟した、豊かで肉感的な、丸く、濃く、力強く、複雑なものになった。

「ブラウネベルクで辛口リースリングを造るのは、10年前だったらまず不可能だった」とヴィルヘルムは(やや誇張気味に)言う。それが今日では、このワイナリーで生産されるワインの60%から70%が辛口ワインだ。」 シュテファン ラインハルト 『FINE WINE ドイツ』

ヴァイングート フリッツ ハーク

<ヴィルヘルム ハーク(1937-2020)>2004年訪問時

1937年生まれ。1957年、弱冠20歳にして父のフリッツよりワイナリーの経営を引き継ぎました。その当時、ハーク家はまだ複数の農業を行っていましたが、ヴィルヘルムはワイン造りだけに専念することを決意しました。その後、2005年にオリヴァーが完全に引き継ぐまで、実に48年もの間、最高品質のリースリングを生産し続けました。1993年にゴー・ミヨのドイツワインガイドの初版である「1994年版」が出版され、『最高の生産者』として選ばれたのがヴィルヘルム率いるフリッツ ハークでした。また、彼は1984年から2004年までの20年間にわたって、モーゼルのVDP(ドイツ高級ワイン生産者連盟)の会長も務めており、ドイツワイン全体の品質向上に貢献しました。

 

彼の情熱は、2人の息子たちにそのまま受け継がれています。長男のトーマスは、ドイツ語圏の5つのワインガイド全てで最高評価を獲得する、シュロス リーザーのオーナーであり醸造責任者です。当時、かつての名声を失いつつあったシュロス リーザーに1992年に参加すると、瞬く間に高評価を獲得し、今ではフリッツ ハークを追い抜いたともいわれるほどに成長しています。次男のオリヴァーは、2004年にフリッツ ハークに参加し、2005年にヴィルヘルムの後を継ぎました。オリヴァー率いるフリッツ ハークの評価は、父に勝るとも劣らないものです。2人の息子たちがそれぞれのワイナリーで、ともにドイツのトップ生産者として活躍しているという事実に、ヴィルヘルムも満足している様子がうかがえました。